ポーカー世界大会WSOP2024での挑戦を振り返る!成功と課題をビジネスに活かすヒント

2024年にラスベガスで開催されたポーカー世界大会WSOP(World Series of Poker)に参加し、多くの経験と学びを得ました。この挑戦を振り返り、成功した点や改善すべき課題について詳しくお伝えします。ポーカーの戦略やマインドセットは、ビジネスの成功にも通じるものがあります。さっそく、WSOP2024の詳細とそのビジネスへの応用について見ていきましょう。

目次

WSOP(World Series of Poker)とは、世界最大のポーカートーナメントシリーズで、毎年ラスベガスで開催されています。1970年に初めて開催されて以来、プロアマ問わず、世界中のポーカープレイヤーが集まり、腕を競い合う場となっています。WSOPは、ポーカープレイヤーにとってのオリンピックとも言える存在であり、最も権威ある大会とされています。

WSOPでは、さまざまなポーカーバリエーションのトーナメントが開催されますが、その中でも最も人気があるのが「ノーリミットテキサスホールデム」です。この形式は、2枚のホールカードと5枚のコミュニティカードを使って最強のハンドを作ることを目指すゲームであり、プレイヤーが自由に賭け金を設定できるため、戦略や心理戦が重要となります。ノーリミットテキサスホールデムは、単なる運任せのゲームではなく、相手の心理を読み、リスクを適切に管理することが求められる高度なマインドスポーツです。

WSOP2024では、以下の目標を設定して挑戦しました。
・トーナメントの一つ以上で入賞すること
この目標は達成され、特にWSOP Event #64: No-Limit Hold’em Deepstackでの入賞が成果となりました。

成果要因

モチベーション

序盤は体力的にも精神的にも安定しており、集中力を維持してプレーすることでリードを奪う展開が多かったです。

また、日本人同士が同卓する際には、ブレイク中にお互いを鼓舞し合うなど、心理的な安心感や自信が高まり、良いプレーができました。

さらに、岡本詩菜さんが優勝したレディースファイナルテーブルを生観戦した後は、気合と自信を持ってプレーすることができました。

なお、岡本選手の優勝セレモニーで「君が代」の国歌斉唱がラスベガスのWSOP会場で聞けたときは、感極まる瞬間でした。

目標設定

また、適切な目標設定とモチベーションの維持も、成果につながる鍵となりました。
具体的には、大きな目標と小さな目標を設定しました。
今回の場合、大きな目標とは、前述の入賞であり、小さな目標とは、次のブレイクまで生き残ることや、その日のチップ量の目標を設定すること等です。
その結果、継続的なモチベーションにつながり、小さな成功体験を積み重ねることができました。
しかし、この結果には満足せず、さらなる上位を目指すための課題も見えてきました。

リスク管理の不足

トーナメントでは入賞することができたものの、さらなる上位進出には課題がありました。特に、Day2の序盤でKKを引いた際、チップリーダーのAAに対しオールインを選択し飛んでしまったシーンは悔やまれるポイントです。この経験から、リスク管理の欠如が明らかになりました。ビジネスでも、リスクを見極め、最適なタイミングでの決断が求められます。

心技体のバランスの乱れ

長時間のプレーによる体力的な疲労が、精神的な不安定さにつながり、プレーに影響を与えました。すなわち、心技体のうち、体→心→技の順に乱れていきました。

また、今回のWSOP参加は、個人行動(単独行動)がほとんどでしたが、結果が残せなかった時や、ロスが大きくなった時に、内省ばかりして前向きなマインドに切り替えにくかった感覚です。それが負のスパイラルを生み出していました。

持続可能なパフォーマンスの維持

外人コンプレックスや言語の壁、会場のピリついた雰囲気などが、プレーにおいて焦りや不安を引き起こす要因となりました。

それによって、主導権を相手に取られることが多く、以下のようなプレーが十分にできていませんでした。

・3bet、4bet
・チェック/レイズ
・降りるべきところで降りられなかった 等

リスク管理の改善

ポーカーでは、すべての手札が勝てるわけではありません。
私のKKと相手のAAの例では、オールインすることがリスクが高すぎると判断し、フォールドすることも選択肢として考えるべきでした。同様に、ビジネスにおいても、大きなリターンが期待できるビジネスアイデアであっても、リスクの高さを考慮する必要性、もしくは、スモールスタートで実施し、結果に応じて柔軟にその後の方針を決定すること(撤退を含め)も重要だと感じました。

事業活動においてもすべてのビジネスアイデアが花開くわけではありません。重要なのは、リスクを適切に評価し、リスクが高い場合にはそのリスクを取るべきかどうかを慎重に判断することです。

心技体のバランスを保つ方法

ポーカーでもビジネスでも、心技体のバランスを保つことがパフォーマンスの向上につながります。
例えば、ポーカーでは、長時間のプレーに備えて日常的に体力を鍛えることが重要です。定期的な運動や健康的な食生活を心がけることで、体力面の向上を図ることができます。
また、精神的な安定を保つためには、リラックスする時間を確保することが必要です。ポーカーの試合前には、リラックスできる環境で過ごすこと。また、定期的な休憩日を設けることも必要でした。

持続可能なパフォーマンスの維持

持続可能なパフォーマンスを維持するためには、自己管理の重要性を認識することが必要です。ポーカーでもビジネスでも、自己管理ができていないとパフォーマンスが低下します。例えば、適切な睡眠を確保することや、プレーや仕事の合間にリラックスする時間を設けることが重要です。これにより、集中力を維持し、高いパフォーマンスを発揮・維持することができます。

目標設定とモチベーションの維持

ポーカーにおいて、明確な目標設定とそれに向けたモチベーションの維持が重要です。
目標を具体的に設定することで、達成すべき方向性が明確になり、それに向けた努力が一貫性を持つようになり、モチベーション維持につながると感じています。
ビジネスにおいても、短期的な目標と長期的な目標を設定し、それぞれに対する戦略を明確にすることで、社員のモチベーションを維持しやすくなります。

チームワークと組織力

個人の力で挑戦することの限界を感じ、組織力の重要性を痛感しました。情報共有や分析、サポート体制の強化、心理的な安心感の向上など、組織力によるメリットが多くあります。特に、現地でのプレイヤー同士の対話や、そこから得られる情報共有・対策などです。また、お互いに励まし合うことも心理的には重要であり、大会の成果に大きく影響すると感じました。

組織力の活用

組織力によるサポート体制の強化は、プレイヤーの心理的な安定感を高め、自信を持ってプレーするために重要です。現地でのプレイヤー同士の情報共有や対話は、プレーの質を向上させるだけでなく、モチベーションの維持にもつながります。個人ではカバーしきれない部分を組織力で補完することで、より高い成果を目指すことが可能です。

ビジネスにおいても、チームワークの重要性は同様です。個々の社員が持つスキルや知識を最大限に活用し、チーム全体で目標に向かって協力することで、より高い成果を達成することができます。

多様性と国際感覚の醸成

ラスベガスでは、多くの国籍やバックグラウンドを持つ人々と交流する機会がありました。
同卓した海外プレイヤーと、つたない英語でなんとか会話を試みただけでも、自分自身の視野を広げることができました。
また、各国のプレイヤーは自国に対する自信と誇りを高くもっていることを感じました。さらに、他国へのリスペクトの精神も高く、大会優勝者のセレモニー時での国家斉唱では、全プレイヤーが立ち上がり、優勝プレイヤーに敬意を示し、お祝いしている様子が見受けられました。

この経験を通じて、多様性の重要性を再認識し、国際感覚を多少養うことができました。特に、他国のプレイヤーとの対話を通じて、自分自身の視野を広げることができました。

日本でのポーカー文化の醸成に向けて

日本では、ポーカーに対するマナーやモラルの底上げが今後の課題だとも感じました。
なぜなら、以下のようなシーンを直接目の当たりにしたからです。

・WSOP会場でのプレー中の公用語は「英語」なのに対して、日本人同士で日本語でずっと会話しているシーン
・同卓している他の海外プレイヤーの悪口をいう(相手へのリスペクトがない)
・ずっとスマホをみながらプレーし、他のプレイヤーとコミュニケーションを取ろうとしない 等

こうした実態も相まって、現地に長期間滞在する日本人プレイヤーいわく、たびたび海外プレイヤーから「No Japanese table」というワードが発せられていることも聞きました。
このため、日本におけるポーカー文化の醸成、特に、ルールやマナー、リスペクト精神がより一層求められているのだなと感じました。これにより、日本でもポーカーが健全なマインドスポーツとして認識されるようになることを期待しています。
ビジネスにおいても、同様の課題が存在します。例えば、企業文化や社員のモラルを向上させるためには、一定のルールや、リスペクト精神等が求められています。

WSOP2024での挑戦を通じて、成果と悔しさ(課題)の両方を経験しました。特に、個人の力だけではなく、組織力の重要性や心技体のバランスを保つことの必要性を痛感しました。来年の挑戦に向けて、これらの経験を活かし、更なる成長を目指していきます。今後もポーカーを楽しみながら、そのスキルや経験をいかして、中小企業の支援を続けていきたいと考えています。この記事を通じて、ポーカーの世界大会での経験が少しでも皆様のビジネスに役立つことを願っています。

執筆者:中小企業診断士 居戸 和由貴

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この記事を書いた人

【中小企業診断士】
生命保険会社、人材会社、戦略コンサルタント会社での経験を経て、2021年に中小企業診断士として独立。強みであるマーケティングとテクノロジーを軸に、中小企業の売上拡大を目的として活動

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