Webマーケティング、やってみたいけどよく分からない…そんなお悩みをお持ちの中小企業の経営者、マーケティング・営業担当者の方も多いのではないでしょうか?
Webマーケティングが中小企業に及ぼす影響は大きく、売り上げを拡大し、企業を成長させるためには欠かせないものとなっています。
本記事では、Webマーケティングについて、その重要性やおすすめの施策、失敗しないためのポイントを解説します。是非参考にしてください。
Webマーケティングとは
Webマーケティングとは、Webを活用したマーケティング活動のことを指します。自社や商品・サービスについて知ってもらい、顧客との接点を作り出す「集客活動」や、顧客や消費者に対して販売や契約を促す「営業活動」をオンライン上で行うイメージです。また、顧客満足度を向上させ、長期的な関係構築を目指すカスタマーサクセスやカスタマーサービスまで、Webマーケティングを通じて行うことが可能です。
Webマーケティングとマーケティングの違い
Webマーケティングはマーケティング活動の一部です。マーケティングとは「売れる仕組みづくり」とよく言われますが、商品の企画やデザイン、販売経路の開拓、企業ブランディング、宣伝広告、これらすべてがマーケティング活動となります。
一方で、Webマーケティングとは、Webに限定したマーケティング活動です。サイトを立ち上げ、コンテンツを増やし、SEO対策や広告を実施して集客し、商品の購入や問い合わせにつなげる流れが基本となります。
また、よく混同される言葉にデジタルマーケティングがあります。デジタルマーケティングとは、Webに限らず、AI技術やアプリケーション、IoT技術、MA、CRMなど、デジタルテクノロジーを活用したマーケティング活動を指します。ただし、これらの定義は、企業や業界によって幅をもつことも多くあります。「マーケティング>デジタルマーケティング>Webマーケティング」という包含関係を理解しておきましょう。
Webマーケティングが重要視される背景
近年、スマートフォンの普及により、時間や場所を問わず誰もがインターネットに触れることができるようになりました。また、新型コロナウイルスの流行により、購買活動や営業活動もオンラインで行われることが主流になっています。Webマーケティングが重要視される背景には、これらの社会情勢が大きく影響しています。
ネットショッピングの普及だけでなく、WebサイトやSNS等を通じて購買に関する情報収集が盛んに行われるようになりました。そのため、自社の商品やサービスに興味をもってもらうために、Web上にある情報を増やし、整理することが重要になります。
また、顧客の購買行動や興味関心に関するデータを収集し、分析することも、自社の売り上げを上げるためには必要不可欠です。オフラインの施策では、チラシの開封(閲覧)率やTV・ラジオCMからの問い合わせ率などを正確に把握することは難しいです。一方、Webマーケティングを行うことで、何をきっかけに接点を持ち、どのように購入や契約に至ったのかのプロセスをすべて数値で把握し、分析することができるようになります。
Webマーケティングの具体的な施策
Webマーケティングの施策は、大きく3段階に分けられます。
①集客施策・・・自社や商品・サービスを知ってもらう、新規顧客との接点を作る
②営業施策・・・顧客の育成(ナーチャリング)を行う、興味関心を高め購入や契約を促す
③関係構築施策・・・顧客満足度を高めファン化を促す、リピート率や客単価の向上を目指す
それぞれの具体的な施策を見てみましょう。
①集客施策
- Web広告(検索広告・バナー広告・SNS広告など)
- SEO(オウンドメディア・自社ホームページ運用)
- SNS運用
- メルマガ
- ウェビナー
②営業施策
- ランディングページ
- ECサイト
- チャットボット
- メルマガ
- ウェビナー
③関係構築施策
- SNS運用
- アプリやチャットボット
- メルマガ
- ウェビナー
Webマーケティングの担当者が行う仕事は、これらの施策を実行するだけではありません。まずは自社の現状を分析・把握し、課題を洗い出し、目的を明確にし、それらに適した施策を選択します。また、ターゲットや競合分析を行ったり、実行した施策の結果を分析して改善することも重要な仕事です。
中小企業がWebマーケティングに取り組むべき3つの理由
では、中小企業だからこそ、Webマーケティングに取り組むべき理由を3つ解説します。
1.少ない予算から始められる
まず、Webマーケティングは少ない予算からでも始めることができるという点が挙げられます。
新聞・雑誌・テレビ・ラジオなどに掲載するマス広告をはじめ、オフラインでのマーケティング施策は数百万円、数千万円単位で予算が必要になることがほとんどです。一方、Webマーケティングの施策の場合、人件費を除き無料~数千円で始められるものもあります。小規模からスタートし、拡大していくことも可能であり、自社の状況によって予算を調整することができるというメリットがあります。
2.顧客との接点を増やすことができる
顧客との接点を増やすことができる点も、中小企業がWebマーケティングに取り組むべき理由の一つです。
これまで中小企業が主に行ってきた営業手法は、展示会や電話営業・訪問営業、郵送によるダイレクトメール、社長や営業マンのつながりによるものが大きな割合を占めていました。これらは接点を持つことができれば深い関係を築くことができるものの、ターゲットが絞られており、拡大が難しいとされていました。
一方、Webマーケティングを活用すれば、より多くの人と接点をもち、アプローチすることが可能です。チラシを1件1件投函するより、ブログやSNSで情報を発信する方がより多くの人と効率良く接点をもつことができます。また、場所に捉われずに営業活動を行うことができる点もメリットです。日本全国、さらには世界中に自社の商品やサービスを広げることもできるでしょう。
3.競合との差別化を図ることができる
中小企業では、Webマーケティングを行うことが競合との差別化にもつながります。
近年、消費者は購入を決定する前にインターネットやSNSで情報収集を行います。この行動は、toCの商品だけでなく、toBの商材でも同様です。情報がインターネット上に存在していなければ、検討の土俵にすら上がることができません。一方で、Webマーケティングをしっかりと行っていれば、消費者の欲しい情報を提供でき、購入や契約につながる可能性が高まります。いち早くWebマーケティングを実施し、競合と差を付けることで、自社のシェア拡大を目指すことができるでしょう。
中小企業におすすめのWebマーケティング施策
数あるWebマーケティング施策の中から、中小企業におすすめの施策を6つご紹介します。Webマーケティングの施策は、自社の課題から設定した目的やターゲットを元に選択します。ここでそれぞれの施策の特徴を抑えておきましょう。
1.ホームページの制作
まず最初に取り組むべき施策は、自社のホームページ制作です。まだ自社のホームページを持っていない企業は、自社のホームページはWebマーケティングにおいて、基盤となります。広告やSNS、メルマガ等から自社のホームページへ誘導し、問い合わせを獲得したり、ホームページ上にブログ記事などのコンテンツを設置し集客したりします。
またインターネット上では、ホームページが企業の顔です。自社に興味をもったユーザーが自社名や商品・サービス名を検索した際に、豊富な情報が記載され、デザインや導線等が整備された公式サイトがヒットしないと、信頼性に欠けてしまいます。会社の概要やサービス内容がまとめられた、分かりやすく見やすいサイトを制作しましょう。
2.Web広告
続いて、Web広告です。Web広告はWeb上のさまざまな媒体に表示される広告です。検索結果に基づいて表示される検索連動型広告(リスティング広告)やWebサイトの広告枠に表示するディスプレイ広告、FacebookやInstagram、Twitter、LINEなどのSNSに配信するSNS広告などがあります。
Web広告は、ターゲティングを細かく設定できるという特徴があります。ユーザーの年齢、性別、地域などの基本情報やよく見ているサイト(SNSであればキーワード)などの興味関心でターゲティングが可能です。また、リターゲティングといって、過去に自社のサイトに訪れたユーザーを対象に広告を配信することもできます。
Web広告の費用の管理方法は、クリック課金が最も一般的です。検索結果やWebサイト、SNSに表示された広告がクリックされる度に数十円~数千円の費用が発生します。使用する予算上限も設定できるため、比較的低リスクで始められます。
中小企業にまずおすすめしたいのが検索連動型広告(リスティング広告)です。検索するユーザーはニーズが顕在化していることが多く、的確にキーワードを選定することで短期間で効果が出やすい広告施策です。
例えば、「神奈川県のリフォーム会社」であれば
・リフォーム 神奈川
・外壁塗装 神奈川
・キッチン リフォーム 神奈川
などのキーワードで広告を出します。
3.オウンドメディア
オウンドメディアとは「自社で保有するメディア」のことですが、WebマーケティングではWebマガジンやブログといった、企業が情報を発信するメディアのことを指します。主に、SEO対策を行い、検索エンジンで上位表示されることによって、多くの人の認知を獲得することを目指します。本記事もオウンドメディアと呼べるでしょう。
オウンドメディアでは、基本的に自社のターゲットとなるユーザーが興味のあるテーマを取り上げます。たとえば、女性向けの化粧品メーカーであれば、「シミ・しわの原因」「肌トラブルの対策」などをトピックスにし、その中でおすすめの化粧品として自社商品を紹介します。
オウンドメディアは、広告と異なり半永久的にインターネット上に残り続けるため、企業の資産となります。効果が出るまでに時間と手間は必要ですが、効果が出るようになれば、予算をかけずに売り上げを獲得する優秀な営業マンとなるでしょう。
4.SNSの運用
SNSの運用も中小企業におすすめのWebマーケティング施策です。FacebookやInstagram、Twitter、LINEなどのSNSで、企業のアカウントを作成し、情報を発信したりフォロワーとコミュニケーションを図ったりします。近年では、動画をメインで投稿するTikTokやYouTubeを運用する企業も増えています。SNSをうまく活用することができれば、売り上げの増加、認知の拡大、ファン獲得を目指すことができるでしょう。
SNSには媒体ごとに特徴があります。Facebookは実名登録制であり、ビジネスシーンで使用する人が多いことからtoB企業におすすめです。Instagramは視覚的なアプローチを得意としており、写真映えするものや図解を使用した投稿がメインとなる場合に有効です。一方Twitterは文字をメインにしています。また、Twitterでは他のSNSよりリプライ等によるユーザーとの交流が盛んに行われるという特徴もあります。LINEは、1対1の対話を演出することができ、ナーチャリングやカスタマーサクセスに活用されることが多いです。これらの特徴と、自社商材の特徴や目的、ターゲットを照らし合わせ、適した媒体を選択しましょう。
5.ウェビナー
ウェビナーは、Webとセミナーを合わせた造語で、オンラインで行うセミナーのことを指します。新型コロナウイルスの影響により、対面での展示会やイベントなどが開催できなくなったことで、マーケティング施策の一つとして主流となりました。対面でのセミナーやイベントと比較し、会場の準備が必要ないことや、場所に捉われずに参加者を集うことが可能であるというメリットがあります。
ターゲットの抱えている課題を解決する方法をフックに新規顧客の獲得を目指したり、既存顧客に向けてサービスの使い方や活用例を紹介し、顧客満足度の向上を目指したりすることに活用できます。
6.メールマーケティング
メールマーケティングもおすすめのWebマーケティング施策です。自社で保有するリストに対してメールを送付し、顧客に対してアプローチを行います。見込み顧客のナーチャリングや、既存顧客のカスタマーサクセスに活用されます。メルマガ登録をフックに新規顧客の獲得を目指すことにも活用できるでしょう。
主なメールマーケティングの手法として、メールマガジンやステップメールが挙げられます。メールマガジンはリストに対して一斉に送信する手法です。新製品の紹介やお知らせ、キャンペーン情報などを伝えるのにおすすめです。ステップメールは、ユーザーの行動に応じて段階的にメールを送る手法です。例えば、資料をダウンロードしたユーザーに対して、ダウンロードのお礼→サービスの導入事例→キャンペーン情報などのように、ステップを踏んでメールを送ります。
メールマーケティングは、内製化しやすい施策の一つであり、低予算で始められる点がメリットです。ただし、他の施策も同様ですが、効果を出すためには中長期的に運用し、分析・改善する必要があります。
中小企業がWebマーケティングで失敗しがちな3つのパターン
Webマーケティングには、必ず成功するという方法は残念ながらありませんが、失敗するパターンは存在します。ここでは中小企業がWebマーケティングに取り組む際に、よくある失敗しがちなパターンをご紹介します。失敗のポイントを抑えることで、成功する確率を高めていきましょう。
1.目的が明確になっていない
目的が明確になっていないまま、他社もやっているから、流行っているからという理由でWebマーケティング施策を実施してしまうと、失敗してしまうことが多くあります。Webマーケティングに取り組む前に、自社の現状から課題を洗い出し、Webマーケティングによってどのような成果を出したいのかを明確にする必要があります。漠然とした「売り上げを伸ばしたい」といったものではなく、現状ネックになっている部分が新規顧客の獲得なのか、契約率なのか、客単価なのかを明らかにし、目的化します。それにより、選択すべき施策や取り組むべきことを検討しましょう。
2.優先順位が低い
Webマーケティングの優先順位が低い状況は、中小企業にありがちです。これまでオフラインの施策をメインに行ってきた企業では、Webマーケティングの重要性や必要性を全社に浸透させることから始めなければなりません。また、優先順位が低いゆえに、十分な予算がつかないという状況にも陥りがちです。
社内教育を行い、Webマーケティングの重要性に加え、時間も手間も予算も必要であること、中長期的な目線で効果を追う必要があることを理解してもらいましょう。
3.必要な人材が確保できない
知識や経験が十分にない状態でWebマーケティングに取り組もうとすると、期待した成果を得ることは難しいです。まずはWebマーケティング経験者が社内にいないか、いないのであれば教育期間をしっかりと設けることで補えないかを確認しましょう。現状の社内での人材の確保が難しいようであれば、経験者の採用、外部リソースの活用を考えることをおすすめします。
中小企業では、WEBマーケティング人材の不足を補うための外注先として、WEBマーケティング会社に支援してもらっている企業が多くあります。また、Webマーケティングに長けた中小企業診断士に相談するのも方法のひとつです。ハッシュタグではWeb活用に関する支援を行っておりますので、是非お気軽にお問い合わせください。 また、社内で人材を確保する場合にも、外注して社内担当者を設ける場合にも、担当者には十分なリソースを割くことのできる環境を用意する必要があります。特に、内製化を目指すなど本格的に行いたい場合には、Webマーケティングの専任にすることをおすすめします。
Webマーケティング会社を選ぶポイント
では、外注する際に、Webマーケティング会社を選ぶポイントを4つ解説します。
1.Webマーケティング施策全般を網羅しているか
Webマーケティング会社にも、広告に特化している会社、SEO対策を得意とする会社など特徴があります。自社内でWebマーケティングの戦略を立案し、施策の選定がしっかりとできる場合を除き、多くの施策への対応ができるマーケティング会社を選びましょう。特に、自社の現状からマーケティング施策全体の戦略を立案、提案してくれる会社がおすすめです。
2.オフラインの施策と掛け合わせた考えをもっているか
中小企業では、多くの場合これまで行っていたオフラインのマーケティング・営業活動とWebマーケティングを掛け合わせることから始めます。また、店舗への来店やイベントへの来場などオフラインの場でどのような効果をもたらすのかが重要なビジネスモデルもあるでしょう。そのため、オンラインのみだけでなく、オフラインの施策と連続性のある考えをもっているかを確認することが重要です。
3.担当者とのコミュニケーションはとりやすいか
Webマーケティングは一度きりで終わるものではないため、基本的にWebマーケティング会社とは中長期的な付き合いが必要になります。担当者との密な連携が必要であり、コミュニケーションの取りやすさは重要です。特に自社の知識や経験が少ない場合、分かりやすく丁寧に説明してくれるWebマーケティング会社であるかという点は確認するようにしましょう。
4.中小企業のマーケティング支援の実績があるか
大企業や有名企業と、中小企業とでは、予算規模や有効な施策が異なることがほとんどです。大企業の実績があることは安心材料になりますが、中小企業への理解があるかどうかを優先して確認した方が良いでしょう。また、中小企業のお客様がいるマーケティ
ング会社は、中小企業の内情にも詳しく、自社の担当者のリソース等を考慮してくれる場合もあります。これらを踏まえて、Webマーケティング会社を選択するようにしましょう。
まとめ
本記事では、中小企業のWebマーケティングについて、その重要性やおすすめの施策、実際に取り組む際に抑えておくべきポイントを解説しました。
オフラインでの営業活動に加えて、ホームページの制作やWeb広告、SNSの運用等からWebマーケティングに取り組むことで、より一層売り上げの拡大を目指すことができます。本記事を参考に、Webマーケティングへの取り組みを始めてみてください。
執筆者:落合 瑠美、監修:中小企業診断士 居戸 和由貴