中小企業のIT化を加速化させる「SaaS(サース)」

業務の効率化や働き方改革を支えるITの活用は、どの企業にとっても重要な課題です。資金・人材に限りがある中小企業こそ、IT化に取り組む意義があると言えます。ただ、これまで、ITを導入するには、費用や時間、ITに詳しい専門人材が必要で、中小企業にとってハードルが高かったのが実情です。

私は20年の社会人経験のうち、16年をIT業界で過ごしてきました。そこで出会ったのがITの革命児ともいえる画期的なサービス「SaaS(サース)」です。中小企業のIT化を加速化させる「SaaS」について、ご紹介いたします。

目次

1.中小企業におけるIT導入の課

従来、経営資源に限りがある中小企業では、ITシステムを気軽に導入・利用することは難しい状況にありました。

中小企業庁「2018年中小企業白書」の統計データを見てみましょう。中小企業におけるIT導入・利用の課題のトップ3は「コストが負担できない(30.6%)」、「導入の効果が分からない、評価できない(29.6%)」、「従業員がITを使いこなせない(21.5%)」となっています。

出典:「2018年中小企業白書」(中小企業庁)を筆者が加工して作成

コストをかけてITを導入しても、従業員が使いこなせず、導入の効果も分からないとなると、IT導入に二の足を踏むのは当然とも言えます。

また、従来型のITは、オーダーメイドでゼロから自社に合うシステムを開発するか、既製品のパッケージソフトを導入するケースがほとんどでした。

システムを利用する前に、開発費やパッケージソフト料金を支払う必要があり、初期コストの負担が大きいことも、中小企業におけるIT導入のハードルを上げた要因の一つであったと考えられます。

2新しいITサービス「SaaS」の登場

そこで登場したのが、初期コストが安く、気軽に利用できるITサービス「SaaS」です。

SaaSは、Software as a Service(ソフトウェア アズ ア サービス)の略で、インターネットを経由してソフトウエアを利用できるサービスです。

SaaSの代表例が、「Zoom」「Microsoft Teams」などのオンライン会議ツールです。コロナ禍において、テレワークやリモート授業の必要性が高まり、爆発的に普及しました。

総務省の「令和3年版 情報通信白書」によると、19日間で、1日あたりのZoom参加者は1億人も増加しています。

出典:令和3年版 情報通信白書(総務省)
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/html/nd123440.html

世界のSaaSサービス市場規模を見ても、CAGR(年平均成長率)24.8%と、非常に伸びている市場であることが分かります。

出典:「令和4年版 情報通信白書世界のパブリッククラウドサービス市場規模(売上高)の推移及び予測」(総務省)を筆者が加工して作成

3.SaaSの特徴・メリット

SaaSは、最短その日から利用可能で、初期コストが安く、とりあえず気軽に試せるITサービスです(※各社が提供するサービスにより条件は異なります)。

パソコン・タブレット・スマートフォンなどの端末と、インターネットへの接続環境があれば、いつでもどこでも、WebブラウザやアプリでSaaSを利用できます。インターネット上のITサービスを利用するため、外出先や自宅でも、会社にいる時と同じように仕事を行えます。

従来型のITは、利用する前に、開発費やパッケージソフト料金を支払い、システムを購入・所有する「買い切り型」のビジネスモデルでした。特に中小企業からすると、システムを利用する前に費用を支払う必要があり、IT導入のハードルとなっていました。

一方SaaSは、月額・年額など定期的・継続的に支払いし、払った期間だけ利用できる「サブスクリプション型」のビジネスモデルとなります。従来型のITのように初期コストとして全額支払わずに、とりあえず1ヶ月分だけ払って、効果がありそうか試しに使ってみる、といった気軽な使い方が可能です。

さらに、SaaSを提供する企業によっては、「お試し0円」、「無料プラン」などの大変お得なサービスを提供している場合もあります。

下表に「従来型のIT」と「SaaS」の特徴をまとめておりますので、こちらも参考になさってください。

4.SaaSの探し方

企業向けのSaaSは無数にありますので、自社が「どの領域で」ITを活用したいのか意識して、SaaSを探しましょう。特に、次の3つの視点を押さえることをおすすめいたします。

「機能」に特化したSaaSは、ビジネスチャットやオンライン会議など、特定の機能を提供するSaaSです。企業だけでなく個人でも利用する方が増えており、中小企業においても比較的導入しやすい領域のSaaSといえます。

「業務」に特化したSaaSは、マーケティングや財務会計など、特定の組織・業務のIT化を支援するSaaSです。SaaSに合わせた業務の見直し、業務の標準化が求められるため、「その企業・その組織固有の業務の進め方・ルールはもはや伝統文化であり見直し困難」、「IT化に反対する強力な抵抗勢力がいて協力を得られない」、といった場合には、導入のハードルが飛躍的に上がる可能性があります。

「業界」に特化したSaaSは、文字通り、特定の業界に特化したSaaSです。例えば、建設業界特化型のSaaSは、当然ながら教育・医療などの他業界では活用できません。同じ業界の競合企業同士で、どの企業がどのSaaSを活用しているかなど、他社動向がSaaSの導入検討・決定に、比較的影響しやすい領域ともいえます。

各企業が提供しているSaaSはインターネットを検索すると無数に出てきます。ただ「探し方がよく分からない」、「どのようなSaaSがあるかイメージがつかない」といった方向けに「ここからアプリ」をご紹介いたします。

「ここからアプリ」は(独)中小機構が提供する、SaaSを紹介するポータルサイトです。業種や目的から主要なSaaSを探すことができます。登録されていないSaaSもありますので、「ここからアプリ」である程度土地勘を持った後に、インターネットで、興味のある領域のSaaSを探されることをおすすめいたします。

また、中小企業におけるSaaSの活用事例も豊富ですので、ぜひご覧になられてみてください。

「ここからアプリ」

https://ittools.smrj.go.jp/

5.まとめ

SaaSは、最短その日から利用可能で、初期コストが安く、とりあえず気軽に試せるITサービスです。経営資源に限りがある中小企業のIT化に適したサービスです。お試し0円や無料プランのSaaSもありますので、ぜひ試してみてください。

執筆者:中小企業診断士 前田泰宏

よかったらシェアお願いします!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

【中小企業診断士】
生命保険会社、人材会社、戦略コンサルタント会社での経験を経て、2021年に中小企業診断士として独立。強みであるマーケティングとテクノロジーを軸に、中小企業の売上拡大を目的として活動

目次