中小企業が「ChatGPT Team」を導入するメリット・課題は?プランの違いや特徴を解説!

野村総合研究所子会社「NRIセキュアテクノロジーズ(東京)」の調査では、日本企業における生成AIサービス導入状況が18%にとどまり、アメリカの73.5%、オーストラリアの66.2%と比べて低いことが明らかとなりました。(調査時期:2023年8~9月)

そんな中OpenAIは、企業向けのChatGPT活用プラン「ChatGPT Team」および「ChatGPT Enterprise」をリリースしました。生成AIの導入を検討している中小企業の皆さまにも、コスト面、安全面において有用なプランとなり得ます。

本記事は「ChatGPT Team」を中心に、中小企業が新プランを活用するメリットや可能性を考察します。

目次

2024年2月現在、ChatGPT には4つのプランが展開されています。大きく分けて「個人向けプラン」と「企業向けプラン」があります。

プランの種類名称料金説明
個人向けプランFree0$個人向けの無料プラン。
Plus20$個人向けの有料プラン。GPT-4 および DALL-E、ブラウジング、高度なデータ分析などが可能。GPTは作成と共有が可能。
企業向けプランTeam25$ (年払い)チーム・企業向けで、チャット履歴は学習に使われない。GPT-4 および DALL-E、ブラウジング、高度なデータ分析などのメッセージ上限が引き上げ。GPTの開発プラットフォームごと共有できる。
Enterprise企業向けで、チャット履歴は学習に使われない。Teamプランのすべてのサービスに加え、長文入力(128K)が可能で、豊富なサービスが付随。

※GPT(Generative Pre-trained Transformer)は、AI技術の1種として使用されてきたことば。それとは別に、カスタマイズされたChatGPT(=GPTs)を単に「GPT」と呼称することがある。OpenAI公式HPでも「GPT」が採用されている。

今回のアップデートでは、TeamとEnterpriseの2プランが新設されました。

OpenAI公式のプラン掲載ページによると、4プランにはそれぞれ異なる価格と特徴があると記されています。

ここでは、

・個人向けプラン:Free、Plus
・企業向けプラン:Team、Enterprise

に分けて紹介します。

個人向けプラン(Free/Plus)

Freeプランは無料で使用できます。(要登録)

言語モデル「GPT-3.5」にアクセス可能な上、ChatGPT との対話も無制限で利用可能です。

Plusプランは、月額20ドルで利用できます。

言語モデル「GPT-4」にアクセス可能で、自分だけのチャットボットを作成できる「GPT」や、画像生成・データ分析・ブラウジング昨日も活用できます。

Freeプランとの違いは、以下のような内容があります。

・速い応答時間
・32K コンテキスト ウィンドウ
・GPT の作成と共有
・画像生成
・ブラウジング
・GPT-4(画像認識あり)
・音声入出力
・高度なデータ分析 (標準)

企業向けプラン(Team/Enterprise)

Teamプランは、月額25ドル(年払い)で利用可能です。
※月払いの場合は月額30$です

個人向けの「Plusプラン」のサービスに加え、GPT-4 および DALL-E、ブラウジング、高度なデータ分析などのメッセージ上限が引き上げられています。

また、GPTのワークスペースが共有でき、複数人で開発を進めることも可能になります。
さらに、対話内容がChatGPT の学習に使用されないことから、セキュリティ面でも安全性が向上します。
特徴をまとめると、以下のようになります。

・速い応答時間
・32K コンテキスト ウィンドウ
・GPT の作成と共有
・画像生成
・ブラウジング
・GPT-4(画像認識あり)
・音声入出力
・高度なデータ分析 (拡張)

Enterpriseプランは、「Teamプラン」のすべてのサービスに加え、コンテキスト(入出力トークン数の合計)が128Kに拡張されています。

その他にも、セキュリティやサービス内容が豊富に追加されています。
利用料金は、営業担当者へのお問い合わせによる確認が必要です。

ChatGPT Teamの導入方法については、以下のステップで進められます。

まず、ChatGPTの公式サイトにアクセスし、アカウントを作成またはログインします。ChatGPTのホーム画面から、左下にある「自分の名前」をクリックし、「My Plan」を選択します。

その後、プランの選択画面で「Team Plan」を選択し、必要な情報を入力します。(筆者の場合、すでにPlusにアップグレードしているため、Teamプランのみ青いボタンが表示されています。)

その後、一問一答形式で、ワークスペースの名前や、必要なメンバー数を設定し、支払い情報を入力して登録を完了させます。

登録後は、チームのメンバーを招待し、共有ワークスペースでの業務を開始します。これにより、組織内でのChatGPTの活用がスムーズに行えるようになります。

ChatGPT Teamの利点は、

・複数人で使用できること
・メッセージ上限が引き上げられたこと
・共同のワークスペースが使用できること
・GPT開発プラットフォームを共有できること
・データが学習に反映されないこと

などがあります。

GPTとは、用途や目的に応じたチャットボットを、ChatGPTの中で開発・共有できるプラットフォームです。これまでは、1人の技術者のみがGPTを開発し、完成したGPTのリンクを教えることでしか、開発ツールを共有できませんでした。

新プランでは、チーム専用のワークスペースが使用でき、GPTも開発・共有できる機能が備わっています。チーム加入者が、内部の開発プラットフォームも共有できるようになるため、複数人でのGPT開発が可能になりました。

関連記事:ChatGPT「GPTs」の使い方を解説!中小企業にどう役立てる?

ここからは、中小企業がChatGPT Teamを活用した場合、どのような場面で役立つかを考察していきます。

たとえば、自社が発行する「計画書」や「申請書」の作成補助ボットを、ChatGPT Team内のワークスペースで開発・共有することが挙げられます。

複数人が同一プラットフォームで知恵を出し合えば、これまでよりすばやくGPTが開発できます。また安全面でも優れていることから、自社の情報を深く、たくさん入力することが可能です。この結果、従来より精度の高い書面のたたき台が作成できます。

さらに、専用のワークスペースがあれば、開発したGPTのフィードバックもより効率的に行うことができます。

従来は、こうしたボットを腕の立つ1人の社員が開発していたため、有用なツールができ上がったとしてもナレッジの引継ぎ・共有が難しく、その社員に依存してしまう不安定さがありました。

しかしこれからは、社員の知識を共有しながらボットを使用できます。そのため、開発環境が共有できれば、半永久的に使用できる社内の貴重な資産になり得ます。

人材の引き留めや確保が課題である中小企業にとっても、とても役立つツールになると考えられます。

中小企業のChatGPT Team導入には、いくつかの課題が考えられます。

1つ目は、従業員の技術的な理解不足です。

生成AIやチャットボットの仕様に慣れていない従業員は、ChatGPT Teamの機能の活用に苦労する可能性があります。効果的なトレーニングプログラムやサポート体制の構築が必要です。

2つ目に、セキュリティやプライバシーの懸念があります。

ChatGPT Team以上のプランでは、対話内容がChatGPTに学習されないとされています。しかし、ビジネスの機密情報を取り扱う以上は、社内情報・データを安全に保つための対策が必要です。これから生成AIを活用したいとお考えの中小企業経営者様においては、従業員への教育体制も含めて検討が必要です。

また、中小企業でのガイドラインの導入も考えられます。

具体例として、日本ディープラーニング協会の生成AIのガイドラインのテンプレートを自社用にカスタマイズするといった方法があります。

3つ目に、ChatGPT Teamの導入初期には、技術的な困難が多く生じることが想定されます。中小企業では、専門のITスタッフが限られている場合が多いため、外部の専門家によるサポートやコンサルティングが必要となることもあります。

こういった課題に対応するための情報収集や相談が必要となります。

中小企業におけるChatGPT Team活用のまとめ

中小企業がより良いビジネス環境を構築するためには、ChatGPT Teamのような新しいプランの活用が1つの解決策になります。

一方、生成AIの導入時の課題に対応するためには、日頃から相談できる取引先のサポートや、生成AIのテクノロジーに精通した中小企業診断士の存在が欠かせません。

ハッシュタグでは、マーケティングとテクノロジーの実務経験・コンサルティング経験をもつ中小企業診断士が、中小企業向けのChatGPT導入サポートも行っております。

無料でのご相談を承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

執筆者:生成AIライター 那須 太陽、監修者:Harmonic Society株式会社 代表取締役兼CEO 師田 賢人、中小企業診断士:居戸 和由貴

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この記事を書いた人

【中小企業診断士】
生命保険会社、人材会社、戦略コンサルタント会社での経験を経て、2021年に中小企業診断士として独立。強みであるマーケティングとテクノロジーを軸に、中小企業の売上拡大を目的として活動

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