経営者にも役立つ読書の効果と魅力とは?

経営者の中には、積極的に読書を習慣としている人が、今も昔も存在します。

彼らが本に対して注力する理由は多岐にわたりますが、その読書習慣がもたらす効果は非常に注目すべきものがあり、気になるところです。

そこで本記事では、なぜ経営者が読書をするべきなのか、そしてその習慣から得られる具体的な効果や魅力について、逸話や例を用いて解説していきます。

読書がビジネスや企業、個人の成長に果たす役割について、深く考察していきましょう。

目次

「読書は大事」「読書をしなさい」などという話を、多くの場面で聞かされてきた人は多いでしょう。

ですが、具体的にはどのような効果や魅力があるのか気になるところです。

ここでは、読書家である経営者などの逸話を紹介しながら、読書から得られる効果や魅力について解説します。

どのように本と向き合い、それらをどのように経営に活かしていけるかに迫ります。

・視野や知識の「フレーム」の拡大

経営にもつながる読書の効果や魅力は、視野や知識などの枠(フレーム)が広がることです。

マイクロソフトの共同創業者であるビルゲイツは下記のようにインタビューで話しています。

「大まかなフレームワーク(枠組みや構造)が手に入れば、そのフレームには何でも入れることができ当てはめられます。十分な数の本を読めば、さまざまなことに類似点が見つかります。互いに似たところがあるので、学習が容易になるのです」

(上記:インタビューより引用)

というように、人間の脳は構造的に物事をパターン化するようにできています。

関連する情報や知識を既にもっていれば、パターンで類似する部分を認識して、多くのことが理解しやすくなるというわけです。

一方で、全く情報のないことや未知の領域の場合は、理解するまでに時間がかかってしまいます。

つまり、多角的な読書をすることで多くの知識を取り入れ、視野や知識のフレームを広げることで、多くのことが早く理解しやすくなるという利点が見えてきます。

そうすることで、ビジネスにおいての問題解決や不確実な難しい状況に直面した際に、フレームが広ければ広いほど、理解力や解決に結びつけるパターンが多くなるでしょう。

・原理原則を学ぶことで応用力がつく

​​成功する読書家の経営者は口を揃えて、枝葉を解決する方法論ではなく、根っこの部分にある原理原則を学ぶことへの重要性も強調しています。

方法を覚えるのではなく、原理原則を読書で学ぶことで、さまざまな状況や文脈に応用することができるようになります。

これを経営におきかえると、「枝葉の解決は瞬間・短期的な目線」、「根本の解決は中・長期的な目線」とも捉えることができるでしょう。

原理原則を学ぶということは、その場しのぎの方法よりもはるかに耐久性があり、長い間使うことができるというわけです。

例えば、関連する逸話で、豊田自動織機(のちの世界的な最大の自動車メーカであるトヨタ)の創業者の豊田佐吉さんの話を挙げましょう。

豊田佐吉さんは「5つのなぜ」という概念を生み出しています。

何か問題に直面したら、必ず5回「なぜ?」と繰り返すことによって、根本原因に到達できるはずだと話していたそうです。

これは、原理を学び根本を理解しようとする考え方に、非常に似ています。

原理を学ぶことで、顧客の喜ぶことや問題解決に繋がるあらゆる方法を自ら応用し見つけることができる。

読書でこのような本質を学ぶという姿勢は、昨今の大きく変化する時代に必要な洞察力を養うのにも必ず役立つはずです。

・普段出会えないような人の経験へのアクセス

読書には、一般的な立場だと出会えるはずのない人物の経験談や知識に確実にアクセスできるという魅力もあります。

経営者にとって良質な情報を得ることは重要ですが、ビジネス界での交友関係や人脈がまだ十分に構築されていない場合でも、読書を通じて成功した実業家やリーダーのエピソードや知見に触れることができます。

これにより、異なる業界や分野の視点を吸収し、自身の経営に新しいアイデアや戦略、問題解決方法を見つけられるかもしれません。

尊敬する実業家、政治家、科学者、トップアスリート、作家、芸能人などの、成功/失敗談や知識に、いとも簡単にアクセスすることができるのです。

読書は数千円でいい情報を吸収できるため、ここまでローリスクハイリターンな自己投資はないのではないでしょうか。

・歴史や古典から得られる本質的な学び

読書を愛する経営者たちは歴史や古典、神話から貴重な学びを得ているということもよく言われています。

これらには、過去の知恵や失敗、成功のエピソードが凝縮されており、ビジネスや人生の学び、さらには自身の人格を磨くことへとつながります。

歴史は失敗のパターンを理解し、同じ過ちを避ける手助けとなり、歴史を学び大きな時系列を追うことで、現在の状況を客観視することができ、ビジネスシーンにも重要なメタ認知力もあがるでしょう。

古典は人間関係や道徳的な側面を学ぶことができ、神話は普遍的な人間の心理に触れられ、現代で忘れがちなハッとする気づきに出会うことも多いです。

多くの成功した経営者たちは読書によって、これらの根源的な部分から得られる知識を組み合わせ、現在と過去を線で結び、あらゆる問題の解決や気づきにつなげています。

・読書に期待できるメンタルヘルス

経営者は、多くの重圧やストレス、孤独と日々向き合っていますが、そんな中で読書はメンタルヘルスとしても注目されています。

実際に、イギリスのサセックス大学の研究でストレス解消効果があることが証明されています。

サセックス大学が行った研究によると、わずか6分間の読書が体内のストレス反応レベルを68%低下させることが分かっているようです。

(この数値は、コーヒーを飲む、散歩にいく、映画を見る、音楽を聞くなどよりも高い)

そこには、本の世界への没入感で現実から離れリラックスすることができたり、出会う知識が悩みの解決になったりと、ストレス解消の要因は多岐にわたります。

ビジネスとなると、直線的な問題解決やスピード感のある効率的な選択などが求められるかもしれません。

ですが、メンタルヘルスの読書という意味では、興味や好き、知的好奇心に従って本を読んだり、小説やエッセイなどを読んだり、文章や物語に没入することで、ストレス解消につながるでしょう。

・読書内での出会いが解決や気づきにつながる

読書で得た情報や知識が自身の問題と結びつき、問題解決や気づきにつながることも読書の醍醐味です。

ここではアップル創業者のスティーブ・ジョブズの話を紹介します。

「Connecting the dots(点と点をつなぐ)」これは、アップル創業者のスティーブ・ジョブズがスタンフォード大学の卒業スピーチで話した有名な言葉で、多くの人の心を動かしました。

このスピーチでは、今やっていることが、将来、自身の役に立つ(点と点がつながる)と信じて取り組みなさい。というメッセージが含まれています。

この話と読書においても、点をつなげていくことができるのです。

読書による言葉や文章、メッセージは、まるで点の集まりのようで、今学んでいることが、後に点と点がつながり、新たなアイデアや解決策を生み出すでしょう。

スティーブ・ジョブズが大学時代に唯一没頭できたカリグラフ(文学芸術)の授業が、後のアップルのフォントにつながったというのも、まさに点と点がつながった有名な話です。

読書で多くの知識やスキルを獲得することで、点との出会いを増やすことができ、これはまさに成功に必要なセレンディピティ※の源です。

※セレンディピティとは、「予想外の事態での積極的な判断がもたらした、思いがけない幸運な結果」であり、偶然の産物やつながり、人生を大きく好転させるきっかけとなる。といった定義があり、海外の科学界で主に使われる言葉で、成功に確実に必要な要素だと言われています。

このように、成功者は読書によって知識や情報、追体験などの点を増やすことで、点と点をつなぎ、セレンディピティの機会を増幅させ、新たな可能性と豊かな未来を切り拓いてきたというわけです。

昨今は、YouTubeやショート動画などの流行もあり、大衆はどんどん読書から離れているのが現状ですが、ここまで述べたように読書には多くの魅力があるため、読書をするだけで、差を生み出せる可能性があります。

近年、企業文化の中でも広がりつつある読書に対する経営者の取り組みもあります。

それは、社内で読書を促進するような制度を導入し、従業員たちが知識を深めたり、自己成長できたりするように積極的に投資することです。

その実態や、読書時間を取り入れる意義とは何なのでしょうか?

実際の経営者がどのように読書を取り入れているのかを紹介していきます。

・読書手当の導入事例

読書の重要性に気づいて、読書手当を導入している企業も存在します。

就職支援事業を展開する株式会社ジェイックは、成長支援制度の一つとして、「読書手当制度」を設けているようです。

その結果、制度開始6年で、2023年1月時点で5,000冊の読書数を突破しているとのこと。

昨今の読書離れが進むなかで、社員がより多くの本を読むようになったのは間違いなくこの制度のおかげでしょう。

(手当は、3冊毎に3,000円が支給されるという内容)

下記:代表取締役のコメント引用

読書をすると視野が広がり、多角的に物事を見る視座が高まります。本を読む人生、読まない人生なら、1・2年での成長度合いは変わらないかもしれませんが、10年だと大きく差が出ると考えています。

今後も読書手当を通じて、社員の学びや成長を支援し、「学ぶ楽しさ」「働く幸せ」「成長する喜び」に満ちあふれた社会を実現できるよう尽力して参ります。

・要約サービスフライヤーの存在

引用:flier公式サイト

ここまで、読書に対する効果や経営者の話をしてきましたが、実際に読書をするためには時間の捻出も必要です。

そこで最後に、読書の要約サービスについて紹介します。

読書の要約サービスであるflier(フライヤー)を導入している企業は実際にあります。

フライヤーとは、本の本質的で大事な部分を有識者たちが抽出して、1冊10分で読むことができるという本の要約、サブスクリプションサービス。

1冊10分で読めるというところが、ビジネスパーソンからすると魅力的であり、忙しくてもこのようなサービスを利用して、スキマ時間に読書をして自己成長を促すという狙いがあるようです。

具体的な人材の成長という狙いで、具体的な数字の成果というものは見えづらい部分はあるかもしれません。

ですが、社員同士で本の話をしたり、知的な会話が増えたり、そもそも本を読む人が少ない中で、積極的に本を読むようになるというのは、長期的にみれば意義のある取り組みなのではないでしょうか。

経営者にとって読書は重要ということや、その効果や魅力をここまで述べてきました。

読書は、「視野や知識の拡大」「原理原則の学び」「あらゆる人物の経験や知識へのアクセス」「歴史や古典からの気づき」「メンタルヘルスの向上」「読書内での出会いが解決や気づきにつながる」など、本の中での出会いから、問題への解決や気づきが期待されます。

そのようにして成功者は、読書によって点という名の知見や情報を増やし、その点を自身の経験や問題とつなげて新たな可能性を切り拓くことで、セレンディピティ(予想外の事態での積極的な判断がもたらした、思いがけない幸運な結果)の機会を増幅させ成功につながる機会を増やしているのです。

読書は経営やビジネスだけでなく、個人の成長に大きく寄与する魅力的な自己投資なのです。

大衆の読書離れが進んでいるからこそ、読書をすることで、ここまで述べてきたような効果を得ることができ、読書をしていない人との差を作ることができるでしょう。

執筆者:武藤 匡平 監修者:中小企業診断士 居戸 和由貴

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この記事を書いた人

【中小企業診断士】
生命保険会社、人材会社、戦略コンサルタント会社での経験を経て、2021年に中小企業診断士として独立。強みであるマーケティングとテクノロジーを軸に、中小企業の売上拡大を目的として活動

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