BtoB企業のウェビナー活用方法とは?メリットや開催までの流れを解説

ウェビナーは、新型コロナウイルスの流行、テレワークの普及により、マーケティング施策の一つとして注目されるようになりました。最近ではリアルでのセミナーやイベントも増加傾向にありますが、対面、ウェブどちらにも良さがあり、ウェビナーは今後も有力な施策として継続されると予想されます。

ウェビナーをマーケティング施策に取り入れたい、自社でも実施してみたいと思ってはいるものの、どのように開催すれば良いか分からないという方も多いのではないでしょうか?

本記事では、ウェビナーについての基本的な知識から、BtoBマーケティングにおける活用方法、実施する手順について解説します。是非参考にしてください。

目次

ウェビナーとは

ウェビナーとは、ウェブとセミナーを合わせた造語で、インターネット上で開催されるセミナーのことを指します。オンラインセミナーやウェブセミナーとも呼ばれます。

これまで会場に参加者を集めて実施していた講演会や説明会、展示会などをオンラインで行います。主催者がビデオや資料などを画面を通じて共有することで、参加者に情報を提供します。近年、マーケティングや営業活動において、ウェビナーを活用するBtoB企業も増えています。

ウェビナーが注目される理由

ウェビナーが注目されるようになった背景として、新型コロナウイルスの流行が挙げられます。新型コロナウイルスの流行によりセミナーや展示会を含む対面でのイベント開催自粛の動きが広まりました。あわせてWeb会議などオンラインでの営業活動が盛んになったことで、ウェビナーを開催する企業が増えたと考えられます。今では、有効なマーケティング施策として主流になりました。

自粛の動きが弱まってきた現在は、対面でのセミナーも開催されるようになりました。対面とオンライン、どちらにもメリット・デメリットがあり、それぞれの特徴を理解した上で選択する必要があります。今後は、リアルで開催するセミナーをWebでも同時配信する、などといった両者を混在させる動きも増えてくるでしょう。

ウェビナーのメリット・デメリット

ウェビナーの特徴をより深く理解するために、メリットとデメリットをそれぞれ抑えておきましょう。

メリット

コストを抑えられる

ウェビナーのメリットとして、対面でのセミナーと比較して金銭的、人的コストを抑えられるという点が挙げられます。対面で行うセミナーの場合、参加者を収容できる会場を用意する必要があります。会場を運営するためのスタッフも必要です。

ウェビナーの場合には、会場は必要なく、運営も少人数で行うことができます。会場を抑える手間や会場設営にかかる人的コストも不要です。その分、会場費や人件費、会場までの交通費など、対面でのセミナーでは必要な費用を抑えられます。

顧客層の拡大を目指せる

ウェビナーには、インターネット環境さえあればどこからでも参加できるという特徴があります。対面で行うセミナーの場合、開催場所や参加者の居住地により参加者が制限されてしまいますが、ウェビナーであれば場所による制限がありません。また、ウェビナーの場合、交通費や移動にかかる時間を確保する必要がないため、気軽に参加できます。

場所の制限がなく、参加へのハードルが下がることもあり、より多くの人に参加してもらうことができます。対面でのセミナーには参加しなかった層にもアプローチできるため、ウェビナーの開催は顧客層の拡大にもつながるでしょう。

デメリット

配信ツールや機材が必要

ウェビナーを開催するにあたり、配信ツールや機材が必要です。機材については、PCに付属のカメラとマイクでも実施できますが、画質や音質が参加者の満足度にかかわるため、PCとは別でカメラとマイクを用意する方がベターです。また、配信中に機材トラブルが生じることもあり、これらはウェビナーならではのデメリットです。

小規模で行う場合には、ZoomミーティングといったWeb会議ツールでも開催できます。ただし、参加人数や時間に制限があったり、ウェビナーとして使用するには使いづらい部分もあるため、専用のウェビナー配信ツールの導入をおすすめします。

また、ウェビナー用のツールやサービスの中には、配信機能だけでなく、カメラやマイク、撮影用のスタジオのレンタルや、ウェビナーコンテンツ作成のサポートサービスが備わっているものもあります。開催が初めての場合など、不安が大きいのであれば、サポートが充実しているサービスを選択するのも良いでしょう。

参加者との相互コミュニケーションが難しい

ウェビナーでは、参加者のカメラとマイクはオフにしたままであることが一般的です。そのため、表情や声といった反応を見ることができません。反応が全く分からない状況を防ぐために、コメントやリアクション機能を活用することをおすすめします。ウェビナー中は適宜コメントで意見や質問を募集したり、リアクションを促したりすることで、能動的に参加してもらえるよう工夫しましょう。

また、対面でのセミナーやイベントの後に開催されるような交流会が、ウェビナーでは実施できないこともデメリットです。ウェビナーでは、交流会で挨拶や名刺交換ができないため、以降の営業活動に繋げられません。その分、ウェビナーのコンテンツで興味関心を高めることがより重要になります。

BtoBマーケティングにおけるウェビナーの活用パターン

では、BtoBマーケティングにおいて、どのようにウェビナーが活用されるのかについて3つのパターンをご紹介します。

新規顧客との接点の創出

ウェビナーは、新規顧客との接点の創出に活用できます。自社のターゲット層が抱えている課題をテーマに取り上げ、自社ならではのノウハウを紹介したり、業界の有識者に登壇してもらったりすることで、ウェビナーへ集客します。ウェビナーの中で、課題解決方法の一つとして自社サービスを紹介することで、自然な流れで営業活動に繋げられます。

ウェビナーへの参加申し込みの際に、氏名だけでなくメールアドレスや電話番号、企業名など営業活動に必要な情報を収集することも重要です。必要であれば、事前調査として簡単なアンケートを行っても良いでしょう。

リードナーチャリング

ウェビナーは、検討段階の顧客へのナーチャリングとしても有効です。自社商品・サービスを詳しく紹介する場としてはもちろん、導入事例の紹介や既に導入している企業の担当者に登壇してもらうなども、導入後のイメージを具体化させることができるためおすすめです。また、ノウハウの紹介や調査データの報告なども、知見の豊富な企業であることを示せるため、信頼性が高まります。

既存顧客の満足度向上

ウェビナーは、既存顧客の満足度をより向上させるための施策としても活用可能です。契約・購入後も、顧客と継続してコミュニケーションを取ることは重要であり、ウェビナーを開催することで定期的に接点を持つことができます。また、複数社に同様の情報を提供できるため、営業効率も高められます。

自社サービスの活用方法の紹介や、独自データ・ノウハウの公開などを行うと良いでしょう。また、顧客の抱えている課題や悩みを調査し、テーマとして取り上げるのもおすすめです。

ウェビナーの配信形式2種類

ウェビナーには、「リアルタイム配信」と「録画配信」の2つの配信形式があります。それぞれの特徴を理解し、状況に応じて選択することが重要です。

リアルタイム配信

リアルタイム配信とは、予定した時間に生配信の形式で配信する方法です。リアルタイムで配信を行うため、参加者のリアクションやコメントを内容に反映させることが可能です。またその場で質問を募集し回答することもできます。

リアルタイム配信の場合には、録画配信と異なりやり直しができないので、事前にしっかりと準備、練習をすることが重要です。

録画配信

録画配信は、あらかじめ撮影した映像を配信する方法で行います。セミナーの日時を指定した一斉配信はもちろん、アクセスすれば日時を問わず見られるように配信することも可能です。

録画配信のメリットは、トラブルが起こりづらい点です。機材のトラブルだけでなく、発信する情報の誤り等を防ぐことができます。また、見ているお客様がいない分、リラックスした状態で撮影でき、講演者の高いパフォーマンスが期待できます。

ウェビナー開催の流れ

では、実際にウェビナーを開催する際の流れを確認しましょう。事前の準備から開催当日、終了後にやることまでご紹介します。

1,目的とターゲットを決める

まずウェビナーを開催する目的を明確にします。目的によって、ターゲットやウェビナーのコンテンツが変わるため、最初に設定することが重要です。

BtoBマーケティングで行うウェビナーの目的は、大きく「新規顧客との接点の創出」「リードナーチャリング」「既存顧客の満足度向上」の3つになることが一般的です。さらに、商談数を増やす、契約率を上げるなど、自社の現状の課題から細かい目標も設定しておきましょう。

目的に沿ってターゲットを設定することも重要です。どのような企業の何の担当の人なのかといった大まかなターゲット層から、日頃何を課題や悩みと感じているのかについても深掘りましょう。既存顧客にアンケートを取ったり、自社の営業担当者にヒヤリングしたりなどの調査を行うこともおすすめです。

2,コンテンツを設計

続いて、ウェビナーのコンテンツを設計します。目的とターゲットに応じて、どのような情報であれば興味を持ってもらえるかを考え、テーマを選定しましょう。参加者はウェビナーのためにわざわざ時間を作って参加します。インターネット等で簡単に収集できる情報だけでは多くの参加者を集めることは難しいでしょう。独自のノウハウやデータ、有識者の登壇など、他にはないコンテンツを盛り込むことが重要です。

テーマやコンテンツが設計できたら、ウェビナー時に投影する資料の作成も忘れずに行いましょう。PowerPointやGoogleスライドを使用することが一般的です。画像を使用したり、文字サイズや1スライドあたりの情報量に注意しながら作成しましょう。

また、リアルタイム配信にするのか、録画配信にするのか、開催日時はいつにするのかも併せて決定しておきます。開催日時は、ターゲットに合わせて参加してもらいやすい曜日、時間帯にすることをおすすめします。企業の担当者がターゲットであれば、お昼休みの時間帯や退勤後の夕方などが良いでしょう。

3,ツールや機材の準備

配信ツールや機材の準備も忘れずに行います。配信ツールは機能や価格、サポート内容などを加味し、自社に合ったものを選択しましょう。また、参加者にとっての使いやすさも重要です。「Zoomウェビナー」は多くの企業が使用しており、Zoomミーティングを使用しているユーザーも多いため、参加者も戸惑いなく使用することができます。参加者数500名までのプランで月額1万円程度となっています。配信ツールを検討する際の基準として参考にしてください。

https://explore.zoom.us/ja/products/webinars/

機材に関しては、ウェブカメラの付いたPCがあれば開催は可能です。ただし画質や音質の確認を行い、必要に応じてカメラやマイクを用意しましょう。また、配信するスタジオや会議室の確保も必要です。社内に十分なスペースが無い場合にはレンタルスタジオの利用も検討しましょう。

4,練習やリハーサルを行う

ウェビナー本番を想定しながら、練習やリハーサルを行うことも重要です。講演者だけでなく、司会進行役、機材や配信ツールの操作担当など必要な役割をあらかじめ決めておきましょう。開催が初めての場合には、タイムキーパーやコメント・質問を確認するスタッフなども用意しておくことをおすすめします。

想定できるトラブルには、対応方法を明確化しておくことも重要です。配信が途中で止まってしまう、資料やカメラが投影されない、参加者からのコメントが表示されないなどトラブルは様々ですが、どのような場面でも参加者に対するフォローが第一優先です。誰がどのように説明するのかなども細かく決めておくと安心です。

5,宣伝・集客

ウェビナーの参加者を集めるために宣伝・集客を行います。まずはウェビナーについての詳細を伝え、申し込みをしてもらうためのページを用意しましょう。

ウェビナーの申し込み用のページには下記の情報を掲載します。

・セミナータイトル

・アイキャッチ画像

・セミナー概要

・講演者や登壇者のプロフィール

・セミナー詳細(開催日時、参加方法、費用など)

・申し込みフォーム(氏名、メールアドレス、電話番号、会社名など)

ページが完成したら自社のホームページやオウンドメディアに掲載します。

下記にてウェビナーと相性の良い集客方法をご紹介します。それぞれの集客経路から、用意した申し込みページに誘導します。開催日の1か月前、遅くとも2週間前には宣伝を開始しましょう。

メール配信

保有するメールリストに対して、メールを配信する方法です。主にリードや既存顧客に向けた集客手法となります。

どのような人に向けたウェビナーなのか、参加することによってどのようなメリットがあるのかをしっかりと記載しましょう。また、参加方法や参加費用、日時なども記載し、メールを読んだだけで概要が分かるようにしておくことも重要です。

SNS

Facebook、Twitter、LINE、InstagramといったSNSでウェビナー情報を発信する方法です。自社のアカウントを利用するため、SNSでの情報発信を行いたい場合にはあらかじめアカウントを作成し、フォロワーを集めておくことをおすすめします。

SNSでの発信の場合にも、どのような人におすすめのウェビナーなのかを明確に記しておくことが重要です。SNSでは文章で伝えられる情報量が限られています。タイトルや登壇者、日時、参加費などの情報が掲載された画像を添付することも有効です。また、より多くの人に見てもらえるように拡散を促すのも良いでしょう。

SNS広告

SNS広告もウェビナーの集客には効果的です。SNS投稿での宣伝と異なり、お金をかける分、確実に多くの人に情報を届けることができます。ただし、予算感やターゲティング、クリエイティブと呼ばれる画像・文言などを的確に設計する必要があり、経験や専門知識がないと成果を出すのは難しいでしょう。社内で実施できない場合には、マーケティング会社などプロに依頼することをおすすめします。

ウェビナーのポータルサイト

ウェビナーやイベントのポータルサイトに掲載することもおすすめです。ポータルサイトに訪れる人はウェビナーを探しているため、高い成果を見込めます。

こくちーずプロ(https://www.kokuchpro.com/)やPeatix(https://peatix.com/)など、無料で掲載できるものもあります。この2つのサイトは、ウェビナー集客に多くの企業が活用するポータルサイトであり、ウェビナーの開催が初めての場合にもおすすめです。

6,開催前日~当日

開催前日には、申し込みのあった人に対しリマインドメールを送ります。リマインドすることで、参加率を高めることができます。また、リマインド時に資料を送ったり、質問を募集したりすることも、参加へのモチベーションを高めるには有効です。

開催当日には、開催時間に余裕を持ってウェビナーの実施に向けた最終確認を行いましょう。開催時間の20分~10分前には会場を開き、待機しておくことをおすすめします。開始時間までは、BGMを流したり、注意事項やウェビナーの流れを記載した資料を画面に投影したりしておくと良いでしょう。

アンケートを収集する場合には、ウェビナーの時間内でアンケートに回答してもらうと回答率が高まります。回答者に対してセミナー資料をプレゼントするといった施策もおすすめです。今後のウェビナーや、営業活動に活かせるアンケート項目を用意しておきましょう。

7,開催後のフォロー

ウェビナー終了後は、参加者へのフォローを忘れずに行います。可能な限り当日中に、お礼のメールを送りましょう。

また、アンケート結果の集計を行い、参加者の見込み度合いに応じてアプローチを行うことも重要です。ターゲット層ではない参加者を除外し、商談化できそうなリード、すぐには商談化が難しいリードなどを選別します。特に商談化できそうな興味関心の高いリードに対しては、モチベーションの高い数日中のうちに、商談についての電話やメールなどを行うことをおすすめします。その際にも、ウェビナーへの参加について触れることが重要です。商談化に至らずとも、定期的に情報を発信するなどアプローチを続けましょう。

8,振り返り

ウェビナーを実施した結果に対して振り返りを行い、次回の施策に活かします。定めた目標は達成したのかを念頭に、申し込み数や参加率、途中離脱の数、アンケート回答率などを分析します。分析結果から、改善すべきポイントを洗い出しておくことで、次に開催するウェビナーに活かすことができます。PDCAサイクルを回しながら、より成果の出るウェビナーを目指しましょう。

まとめ

本記事では、BtoBマーケティングにおけるウェビナーについて、その特徴や開催方法をご紹介しました。質の高いウェビナーを開催することができれば、費用対効果の高いマーケティング施策となります。是非本記事を参考に、ウェビナーを開催してみてください。

執筆者:落合 瑠美、監修:中小企業診断士 居戸 和由貴

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この記事を書いた人

【中小企業診断士】
生命保険会社、人材会社、戦略コンサルタント会社での経験を経て、2021年に中小企業診断士として独立。強みであるマーケティングとテクノロジーを軸に、中小企業の売上拡大を目的として活動

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