メールマーケティングとは?手法や実施方法、注意すべきポイントを解説!

メールマーケティングとは、メール配信を通じて顧客とコミュニケーションをとり、マーケティングを行うことです。メールマガジンなどを筆頭に、長年親しまれてきたマーケティング手法です。

本記事では、メールマーケティングについて、具体的な手法や実施方法、注意すべきポイントをご紹介します。是非参考にしてください。

目次

メールマーケティングとは

メールマーケティングとは、メールを使ったマーケティング手法のことです。メールを通じて顧客とのコミュニケーションを図り、購入や契約につなげるための興味関心、購買意欲の醸成や、顧客満足度の向上につなげます。

一般的には、自社で保有するメールアドレスのリストに対して、届けたいメッセージをメールで配信します。具体的な手法については、後ほどご紹介します。

メールマーケティングが必要な理由

チャットツールやSNSが普及したため、メールは古い、効果がないと思われがちですが、そうではありません。メールは今でも多くの人に日常的に利用されているツールであり、マーケティング手法として効果が期待できます。特にビジネスシーンにおいては、日頃からコミュニケーションツールとしてメールを活用している人も多いでしょう。

博報堂生活総合研究所の「生活定点」2022年調査によると、メールアドレスを持っている割合は78.7%となっており、特に40代、50代は8割を超えています。「令和3年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」からも、40代以降のメール利用率は年々増え続けており、30代以下でも減少傾向にはあるものの一定の水準を保って推移していることが分かります。日経XTECKの調査では、社内の日常連絡に使用する手段として、メールとビジネスチャットがどちらも8割近くとなっています。

メールは多くの人にとって身近なツールであり、顧客にとっても、マーケティングを実施する側にとっても使いやすいツールであるといえます。そのため、顧客に対してメッセージを届けたり、継続してコミュニケーションをとったりする手法として、メールマーケティングは今でも重要な役割を果たしています。

メールマーケティングの手法

ここではメールマーケティングの具体的な手法を4つご紹介します。

メールマガジン

メールマガジンは、リストに対して同一のコンテンツを一斉配信する方法です。メールマーケティングの代表的な手法です。

同じ内容を一斉に配信するため、新製品の紹介やキャンペーン情報、企業からのお知らせなどを届けたいときにおすすめの手法です。登録しているユーザーに対して、漏れなく継続的に接点を持つことができる点が特徴です。

ステップメール

ステップメールは、顧客の行動や検討度合いに基づき、段階を踏んでメールを届ける手法です。

例えば、資料を請求したユーザーに対して、

当日中:お礼と資料送付のメール

3日後:導入事例の紹介メール

1週間後:キャンペーン情報のメール

といった流れで、あらかじめ送信のタイミングとメールを設定しておきます。

検討度合いに合わせた配信を行えるため、訴求力の高い手法となっています。

ターゲティングメール(セグメントメール)

ターゲティングメール(セグメントメール)とは、ターゲットを絞って配信する手法です。

例えば、個人の属性であれば

・性別

・年齢

・職業

・居住地

・家族構成

企業情報の場合、

・業種

・所在地

・企業規模

・役職

などによって、ターゲティングを行います。資料請求した人、セミナーに参加した人などの条件で絞り込むこともあります。

ターゲティングメールは、配信対象を絞ることで、より個々に適した情報を届けることができます。そのため、高い開封率やアクション率が期待できる手法です。

リターゲティングメール

リターゲティングメールとは、1度何らかのアクションがあったユーザーに対して配信する手法です。リターゲティングはWeb広告の用語で、Webサイトを訪れたことのあるユーザーに対して訪れたページの広告を表示させることを意味します。メールマーケティングにおいても同様に、商品ページを閲覧した、カートに入れて離脱した、などのユーザーに対し、再度検討してもらえるようメールを配信します。

ECサイトでよく使われる手法ですが、BtoBにおいても資料請求などをトリガーに活用されています。

メールマーケティングの流れ

実際にメールマーケティングを行う際の、流れとやるべきことについて解説します。

1.目標設定

まずは、メールマーケティングを行う目標を明確にします。解決すべきマーケティング課題やメールマーケティングを行う目的から考えると良いでしょう。メール経由での資料請求〇件、セミナーへの参加者〇名、商談化〇件など、目標は具体的な数値を設定します。

最終的な目標(KGI)が設定できたら、KGIから逆算してKPI(中間指標)を決めます。KPIには、メールの配信数、到達率、開封率、クリック率、CV(アクション)率などがあります。KPIが現実的なものであるのかも確認しましょう。業種や手法によって変化しますが、開封率は一般的に15〜20%であるとされています。

2.メールリストの用意

続いてメールリストを用意します。顧客リストや名刺交換、会員登録などからリストを作成します。自社で保有している顧客の情報のことをハウスリストと呼びますが、これまでハウスリストが管理、整備されていない場合には、取引履歴や自社との関係性などを加味しながら、精査する必要があります。

併せて、目標を達成するにはどのようなユーザーを対象とすべきかについても検討しましょう。商談化を目標としている場合、既存顧客や提携先、競合企業は対象になりません。目的に応じたリスト作成が重要です。

また、メールの配信先を増やすには、Webサイトなどでメールマガジンの購読への誘導や、ホワイトペーパーの配布などが有効です。これらも、メールマーケティングを実施する目的や選択する手法に基づき検討しましょう。

※ホワイトペーパーとは、ユーザーに向けて情報をまとめた資料のことです。顧客の抱えている課題に対するソリューションの紹介や自社商材の導入事例、市場調査の報告書などが代表的です。Webサイトに掲載しダウンロードしてもらうことで、個人情報を取得する手法の1つとして使用されています。

3.メール作成

メールで送るコンテンツを作成します。コンテンツ作成の際には、ユーザーがどのような情報を欲しているのか、どのような情報であれば次のアクションに誘導できるかを考えます。顧客の検討フェーズと、行動や心理を照らし合わせたカスタマージャーニーを作成するとイメージしやすくなります。

例えば、ホワイトペーパーをダウンロードしたユーザーは、課題を抱えており解決策を探しているものの、サービス導入の検討には至っていないと考えられます。この場合には、課題に対するソリューション情報を提供しながら、自社サービスへの興味関心を高める必要があります。

一方、サービス資料を請求したユーザーは、既に比較検討のフェーズにいる可能性が高いです。この場合、より詳しいサービス情報や導入事例をコンテンツにするのが良いしょう。

4.配信

メールが作成できたら配信を行います。ユーザーに対して配信する前に、社内メンバーに対してテスト配信をしましょう。問題なく配信されるか、メールの表示にバグはないかなど、様々なメールソフトで確認できると良いです。PC、スマホなど端末ごとの確認も行いましょう。メールは一度配信すると修正ができないため、配信前に十分に確認する必要があります。

また、メールを読んでもらうためには、送るタイミングも重要です。株式会社ラクスが発表した「メルマガに関する調査レポート」によると、メルマガを読む時間帯は「平日の夜間(帰宅後)」が最も多い結果となっています。またこの調査では、全体として平日より休日の方が読まれやすいことが分かります。

ただし、配信するターゲットによってもベストなタイミングは変化します。ビジネスマンの場合、一般に始業時間の前後や昼休みの後の時間帯が開封率が高いとされています。専業主婦(主夫)や学生だと、このタイミングも変

わります。業種による休みの曜日なども調査した上で、配信のタイミングを検討するとよいでしょう。

5.効果測定と改善

配信後には、設定したKPIと照らし合わせて効果測定を行います。メール配信ツールやMAツールなどの分析機能を使うと便利です。分析結果をもとに改善点を洗い出します。例えば、開封率が低いのであれば配信のタイミングやタイトルに改善点があると考えられます。

メールマーケティングは効果測定と改善を繰り返すことで、成果を最大化できます。特に、ABテストは効果的です。同じメールで送るタイミングを変えてみる、タイトルだけを変えてみるなどと、仮説検証を行ってみましょう。

オプトインとオプトアウトに注意

メールマーケティングを実施する際には、「オプトイン」と「オプトアウト」に気を付けなければなりません。

「オプトイン」「オプトアウト」とは

メールマーケティングにおける「オプトイン」とは、メールの受信に同意することです。あらかじめ受信者の同意を得た上でメールを配信する方法をオプトイン方式と呼びます。一方、「オプトアウト」とは、受信者が受信拒否を行うことです。オプトアウト方式は、受信者の同意の有無にかかわらずメールを配信し、受信拒否のあった場合に配信を停止する方法です。

現在、個人情報保護法と特定電子メール法により、オプトイン方式でなければメール配信を行えなくなりました。つまり、ユーザーのメールアドレスを取得する際に、必ずメールの配信について同意を得る必要があるということです。また、オプトアウト(受信拒否)が簡単に行えるようにしておくことも、法律によって定められています。

必ず同意を得る

メールアドレスを取得する際には、広告・宣伝メールの送信を行うことを認識してもらい、同意してもらう必要があります。

例えば、「ご入力頂いたメールアドレス宛に、広告を含むご案内のメールをお送りする場合があります」と明記した上で「上記に同意して送信する」としたり、プライバシーポリシーを別途用意し、同意するチェックボックスを設けたりします。

オプトイン規制には例外があります。

・名刺交換によって得た場合

・すでに取引関係にある場合

・インターネットで公表されており、広告宣伝メールの受信拒否が明記されていない場合

上記の場合は、オプトイン規制の例外であり、宣伝広告メールを配信する際にも同意を得る必要はありません。

配信停止の方法を明確に

オプトアウト(配信停止)の方法を簡単にできるようにしておき、メールに明記しておく必要があります。

配信停止ができるURLや配信停止用のアドレスを用意し、本文中に記載しましょう。ツールを利用してメール配信を行う場合には、配信停止の機能がついていることが多いです。ツールの機能を活用すれば、自動的にリストから削除できる仕様になっているものもあります。

オプトアウトの方法はできる限り簡単にしておくと良いでしょう。また、配信停止の手続きに時間がかかる場合には、その旨も明記しておくと親切です。

送信者情報を表示

特定電子メール法では、送信者情報を表示することも義務として定められています。下記項目について忘れずに記載するようにしましょう。フォーマットとして用意しておくことをおすすめします。

・本文中に送信者などの氏名又は名称

・本文中に受信拒否 (オプトアウト) ができる旨の表示とその連絡先 (電子メールアドレス又はURL)

・任意の場所 (リンク先ページも可) に送信者の住所

・任意の場所 (リンク先ページも可) に問い合わせなどを受け付ける電話番号、メールアドレス又はURL等

メールマーケティング成功のためのポイント

では、メールマーケティングの成果を最大化するためのポイントを解説します。

ツールを利用する

メールマーケティングには、メール配信ツールやMAツールなどの利用がおすすめです。メール配信ツールには、メールを一斉送信できるだけでなく、リストの管理機能やシナリオ設定の機能があるものもあります。しかし、中には効果測定が十分に行えない、メール配信に特化したツールもあるので、導入の際には機能の確認が必要です。

MA(マーケティングオートメーション)ツールでも、メールの配信を行うことができます。MAは顧客管理やWebサイトのアクセス解析などを含む、マーケティング施策全体を通じて自動化、効率化ができるツールです。顧客のスコアリングをしながら、メールをマーケティング施策の1つとして活用する場合には、MAツールがおすすめです。

ユーザーのステージに応じた設計にする

メールの内容は、ユーザーの検討ステージに応じた設計にすることが重要です。興味を持ってもらい、読んでもらえるメールを配信するためには、カスタマージャーニーと照らし合わせながら、ユーザーの検討度合いやニーズを理解する必要があります。

営業・マーケティングでは、「MQL」と「SQL」という用語が使われることがあります。メールマーケティングの役割として、MQLの創出、MQLからSQLに繋げる点も抑えておきましょう。MQLとは、マーケティング活動で獲得したリードのうち、購買意欲が高い見込み顧客のことです。一方SQLとは、受注確度が高く営業が対応すべきと判断された顧客のことです。

リードからMQLを、MQLからSQLを創出するためには、リードと継続的に接点をもち、興味関心を高めていく必要があります。これらの指標に基づきユーザーを分類しておくことで、効率的にメールマーケティングを行うことができます。また、長期戦となるマーケティング活動において、メールマーケティングは効率的かつ、効果的です。

タイトルを工夫する

メールマーケティングで、開封率は重視すべき指標の1つです。開封してもらえなければ本文を読んでもらうことができず、次のアクションにも繋がりません。開封率に大きな影響を及ぼすのがタイトルです。

開封率を高めるためには、タイトルは企業側が訴求したいことではなく、ユーザーニーズに応えたものであることがポイントです。お得であることや役立つことが分かれば、開封してもらえる確率は高まります。「無料」や「特典」「キャンペーン」といったワードを入れたり、〇〇課題の解決方法などと具体性を持たせたりしましょう。他にも、数字を入れる、緊急性をもたせる、などが工夫できるポイントです。

また、タイトルは冒頭15〜20文字しか表示されないと考えておくと良いでしょう。利用するメールソフトや端末によって表示される文字数は変化しますが、冒頭の15字程度に訴求したい内容を入れておくことが重要です。

本文は簡潔に分かりやすく

1つのメールにつき、訴求内容は1つが基本です。複数の内容を詰め込んでしまうと、結局何が伝えたいのか分かりづらいメールになってしまいます。

また、簡潔で分かりやすい文章であることも重要です。全体の文章量をコンパクトにまとめることはもちろん、適度な改行、難しい言葉は使わない、適宜記号を使うなどの工夫も必要です。ユーザーが時間を取らずに、スキマ時間でも読めるようなメール文を心掛けましょう。

まとめ

本記事では、メールマーケティングについて、手法や実施の流れ、成果を上げるためのコツについてご紹介しました。

メールは今でも多くの人に利用されているツールであり、マーケティング手法としても効果的です。ユーザーニーズに沿ったメールマーケティングが実施できれば、顧客との関係性の構築がよりスムーズになります。本記事を参考に、是非メールマーケティングを実施してみましょう。

執筆者:落合 瑠美、監修:中小企業診断士 居戸 和由貴

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この記事を書いた人

【中小企業診断士】
生命保険会社、人材会社、戦略コンサルタント会社での経験を経て、2021年に中小企業診断士として独立。強みであるマーケティングとテクノロジーを軸に、中小企業の売上拡大を目的として活動

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