事業再構築補助金で経営変革を実現

事業再構築補助金とは、新型コロナウイルスの影響の長期化により、当面の売上および需要回復が見込めない中小・中堅企業が、新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、または事業再編に挑戦して、日本経済を活性化することを支援するものです。

執筆時点(2022年2月)では、第5回目の公募期間中です。過去の公募期間と採択件数は下表をご覧ください。

公募期間採択件数/申請件数
第1回令和3年3月26日〜令和3年4月30日8,016/10,239件
第2回令和3年5月20日〜令和3年7月2日9,336/18,333件
第3回令和3年7月30日〜令和3年9月21日9,021/18,519件
第4回令和3年10月28日〜令和3年12月21日
第5回令和4年1月20日〜令和4年3月24日

中小企業庁の特設サイトによると、第6回公募以降は事業類型や要件が大幅に変更になると記載されているため、注意が必要です。

目次

補助対象事業と補助金額について

補助対象事業の類型

事業再構築補助金の対象となる事業の類型は次の通りです。

通常枠:

新分野展開や業態転換、事業・業種転換等の取組、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等を目指す中小企業等の新たな挑戦を支援。

大規模賃金引上枠:

多くの従業員を雇用しながら、継続的な賃金引上げに取り組むとともに、従業員を増やして生産性を向上させる中小企業等の事業再構築を支援(すべての公募回の合計で、150社限定)。

卒業枠:

事業再構築を通じて、資本金又は従業員を増やし、3年~5年の事業計画期間内に中小企業者等から中堅・大企業等へ成長する中小企業者等が行う事業再構築を支援。(すべての公募回の合計で、400社限定)

グローバルV字回復枠:

事業再構築を通じて、コロナの影響で大きく減少した売上をV字回復させる中堅企業等を支援(すべての公募回の合計で、100社限定)。

緊急事態宣言特別枠:

令和3年の国による緊急事態宣言発令により深刻な影響を受け、早期に事業再構築が必要な飲食サービス業、宿泊業等を営む中小企業等に対する支援。

最低賃金枠:

最低賃金引上げの影響を受け、その原資の確保が困難な特に業況の厳しい中小企業等が取り組む事業再構築に対する支援

補助金額・補助率

事業再構築補助金の補助金額と補助率は下表の通りです。

補助金額補助率
通常枠【従業員数20人以下】
100万円~4,000万円
【従業員数21~50人】
100万円~6,000万円
【従業員数51人以上】
100万円~8,000万円
【中小企業者等】
2/3(6,000万円超は1/2)
【中堅企業等】
1/2(4,000万円超は1/3)
大規模賃金引上枠【従業員数101人以上】
8,000万円超~1億円
【中小企業者等】
2/3(6,000万円超は1/2)
【中堅企業等】
1/2(4,000万円超は1/3)
卒業枠6,000万円超~1億円2/3
グローバルV字回復枠8,000万円超~1億円1/2
緊急事態宣言特別枠【従業員数5人以下】
100万円~500万円
【従業員数6~20人】
100万円~1,000万円
【従業員数21人以上】
100万円~1,500万円
【中小企業者等】3/4
【中堅企業等】2/3
最低賃金枠【従業員数5人以下】
100万円~500万円
【従業員数6~20人】
100万円~1,000万円
【従業員数21人以上】
100万円~1,500万円
【中小企業者等】3/4
【中堅企業等】2/3

事業再構築補助金の要件

事業再構築補助金に採択されるには、以下の①〜③の条件を全て満たさなければなりません。

① 売上が減っている
② 新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編に取り組む
③ 認定経営革新等支援機関と事業計画を策定する

順番にひとつずつ見ていきましょう。

① 売上が減っている

(a)2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月間の合計売上高が、コロナ以前(2019年または、2020年1~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少している。あるいは、(a’)2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計付加価値額(※)が、コロナ以前の同3か月の合計付加価値額と比較して15%以上減少している。

(b)2020年10月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月間の合計売上高が、コロナ以前の同3か月の合計売上高と比較して5%以上減少している。あるいは、(b’)2020年10月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計付加価値額が、コロナ以前の同3か月の合計付加価値額と比較して7.5%以上減少している

※付加価値額 = 営業利益 + 人件費 + 減価償却費

② 新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編に取り組む

事業再構築補助金の応募条件を満たすには、5つの事業再構築の類型のいずれかに事業計画が該当しなくてはなりません。下図は、事業再構築の類型と満たすべき要件をまとめたものです。

③ 認定経営革新等支援機関と事業計画を策定する

事業再構築補助金に申し込むには中小企業庁が認可した「認定経営革新等支援機関」と事業計画を策定する必要があります。認定計画浸透支援機関の選定は以下のサイトを利用できます。

参考:認定支援機関検索システム(中小企業庁)

認定経営革新等支援機関に相談する内容は、以下の通りです。

  • 経営状況の把握(財務分析、経営課題の抽出)
  • 事業計画作成(計画策定に向けた支援・助言)
  • 事業計画実行(事業の実施に必要な支援・助言)

認定経営革新等支援機関の役割について、より詳しく知りたい方は下記のページをご覧ください。

参考:国の補助事業等において必要とされる認定支援機関の役割について

事業再構築補助金採択の事例

ここでは、事業再構築補助金の公募で採択された事例をふたつ紹介します。

十勝シティデザイン株式会社(新分野展開)

北海道帯広駅前に2016年誕生した「HOTEL NUPKA(ホテル ヌプカ)」は、地域密着型の経営で順調に売上を伸ばしていたが、コロナ禍の影響により売上が減少。しかし新しい市場であるワーケーション需要の拡大に目をつけ、首都圏企業等をターゲットにサブスクリプション型のビジネスモデルを策定して、新分野展開を策定する。市場ニーズの変化に対応した上で、自社のコアコンピタンスを生かす事業計画は参考になるだろう。

参考:【事例】十勝シティデザイン株式会社

有限会社市場印刷(業態転換)

市場印刷社は、不動産会社を中心に集客イベントの開催やチラシ等による販売促進の企画・提案を行っていました。ところが、コロナ禍によりイベントなどが中止になると共に、広告チャネルの多様化が進み、事業の売上が減少。そこで、同社はドローンによる空撮を用いて顧客の販売促進を支援するビジネスモデルを策定しました。競合他社にはないドローン撮影のノウハウを生かした形です。デジタルを活用した業態転換は、同社以外にも大きな可能性がある領域だと考えられます。

参考:【事例】株式会社市場印刷

まとめ:ピンチをチャンスに変えるために

事業再構築補助金は中小・中堅企業にとっては、非常に意義深い制度です。補助金の総額の大きさもさることながら、経営者が自社の経営や事業を客観的に把握して言語化する機会はめったにないからです。また、認定支援機関の指導を通じて新しい気づきや関係性を手に入れることもできるでしょう。コロナ禍のようなブラックスワンに適応するためには、思い切った経営改革が必要です。事業再構築補助金は、それに踏み出す一歩を後押ししてくれるでしょう。ぜひ、事業再構築補助金の特設サイトをご覧ください。

参考:事業再構築補助金

執筆:師田賢人

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この記事を書いた人

【Harmonic Society株式会社 CEO】
外資系コンサル、Webエンジニア、Webライター、フォトグラファーを経て、2023年にHarmonic Society株式会社を設立。企業の経営の悩みを言葉で解決している。一橋大学商学部卒。

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