本記事は、中小企業向けのマーケティング支援サービスを探している担当者に向けて書いたものです。マーケティング支援サービスを受ける前に知っておくべきことや中小企業マーケティング支援の種類、マーケティング支援のプレイヤー(業者)を可能な限り網羅的に取り上げます。マーケティング支援を比較・検討する際に参考にしてください。
中小企業がマーケティング支援を受ける前に知っておくべきこと
中小企業がマーケティング支援を受ける前に知っておくべきことは3つあります。マーケティング支援のサービスを提供する企業は星の数ほどいるため、良いパートナーを見つけるために、これから述べる3つの視点は発注前に必ず一考するようにしてください。
マーケティング支援の種類
マーケティング支援の種類は多岐にわたります。新しい手法も日に日に登場しているため、最新の情報にキャチアップすることは簡単ではありませんが、代表的なマーケティング支援の種類を頭に入れた上で、サービスを比較・検討するのが機会損失を防ぐために合理的でしょう。次章では、マーケティング支援の種類を6つに整理して解説します。
自社のペルソナ(ターゲット顧客)
マーケティング支援を受ける前には、必ず自社の製品・サービスのペルソナ(ターゲット顧客)のイメージを固めておくようにしましょう。マーケティング支援を受ける中で、ペルソナがよりブラッシュアップされることになりますが、自分たちの頭で前もってたたき台をつくっておくことが大切です。
マーケティング支援のプレイヤー
マーケティング支援のサービスを提供するプレイヤー(業者)も有象無象と存在しています。自社にとって最適なパートナーを見つけることは非常に困難ですが、少なくともどのようなプレイヤーがどのようなサービスを提供し、何を強みとしているのかについて前提知識を持っておくことが肝心です。詳しくは後述しますので、必ず目を通すようにしてください。
中小企業マーケティング支援の種類を「5つ」に分類
中小企業マーケティング支援の種類を、大まかな時系列に沿って5つに分類して、紹介します。本章の内容を見て、自社が必要とするサービスが何か具体的にイメージしましょう。
①ブランディング戦略の立案
ブランディング戦略の立案で大切なことは「バリュー・プロポジション」と「コミュニケーションの一貫性」をきちんと固めることです。バリュー・プロポジションとは、「顧客のニーズが高いにも関わらず、他社が提供できていない独自の価値」を指します。自社のバリュー・プロポジションを特定することで、適切なポジショニングを築くことができます。また、企業が顧客接点(タッチ・ポイント)において実行するコミュニケーションは一貫性が担保されていないと信頼感を醸成することが難しいです。これらを実行に移す際には3C分析やSTP分析あるいはカスタマージャーニーマップ等を作成すると良いでしょう。
②Webマーケティング
Webマーケティングの支援では、SEOやSEM(※)の対策、Web広告やコンテンツ・マーケティングのほかSNS戦略についても方針を決めます。Webマーケティングの定義はさまざまありますが、ここではオンライン上で行う集客とします。コロナ禍の影響もあり、企業の活動がオンライン化しつつある昨今、Webマーケティングは重要度がますます高まっている領域です。
※SEMは、狭義ではリスティング広告の最適化を指します。
③オフライン・マーケティング
オフライン・マーケティングは、Webマーケティング以外のマーケティング全般を指すものです。具体的には、
- TV/ラジオ広告
- 交通広告/街頭広告
- 印刷物(チラシ、雑誌、新聞等)
- イベント/展示会
- ダイレクトメール
などの活動を指します。
Webマーケティングの普及により、オフライン・マーケティングを軽視する風潮がありますが、業界や業種、商材の種類によっては、オフライン・マーケティングの活用が必須なことも多々あります。ところが、オフライン・マーケティングは効果測定の難しさもあり、ノウハウが蓄積されづらいため、自社のみでは実行しづらい施策ではあります。
④セールス&プロモーション(販売促進)
セールス&プロモーションは、日本語では「販売促進」という言葉に近く、ニーズがすでに顕在化している顧客の購買を後押しするような一連の施策です。たとえば、ポイントプログラムやクーポン・特別割引、期間限定セールなど、みなさんにも馴染みがあるものも多いのではないでしょうか。セールス&プロモーションを適切に行うことができれば、商品・サービスの売上に大きく貢献しますが、費用も比較的高くなりがちな活動です。
⑤顧客との関係構築(CRM)
顧客との関係構築(CRM/カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)は、近頃脚光を浴びているデジタルマーケティングにおいて、非常に重要になってきています。具体的には、顧客データベースの構築・管理やチャットボット、カスタマーポータルの設置、マーケティング活動の自動化など、多岐にわたります。CRMを適切に行う手段のひとつとして、MA(マーケティング・オートメーション)やSFA(セールス・フォース・オートメーション)などのツールを導入する企業も増えています。
マーケティング支援のプレイヤーを「5つ」に整理
本章では、マーケティング支援のプレイヤーを5つに大別します。細分化すればキリがありませんが、前提知識としてはこれから述べる内容を頭に入れておけば問題ありません。
①コンサルティング会社
コンサルティング会社は、戦略策定から市場調査、データ分析に基づく施策改善など、企業のマーケティングを総合的にサポートするプレイヤーです。マーケティングに取り組みたいが何をすべきか全くわからない企業にとって、頼るメリットは大きいでしょう。ただし、利用する費用は他のプレイヤーと比べて高価になりやすいです。
②広告代理店
広告代理店は、前章で述べたWebマーケティングやオフライン・マーケティングの中でも広告領域に特に強みを持つプレイヤーです。TVCMなどのマス広告は、自社のみで行うのは大変な困難が伴うため、広告代理店に頼るケースがほとんどです。Web広告においても、運用・改善に豊富なノウハウを持つため、広告を打ちたいのであれば、広告代理店に相談するのが早道です。
③専門サービス提供会社
専門サービス提供会社とは、ブランディングやマーケットリサーチ、コンテンツ制作(文章、デザイン、動画等)に特化したサービスを提供するプレイヤーです。自社の課題に対する打ち手が大筋決まっており、実際にそれらを実行するときに強い味方となるのがこれらの企業です。自社が取り組みたい施策に近い成功事例を持つ業者に相見積もりをとって、業務を委託するのがベターな方法です。
④技術ツール提供会社
技術ツール提供会社は、MAやCRM、SFAツール、SNSやサイト分析のツール、SEOツールなど、マーケティングに必要なツールの販売・提供・改善を支援するプレイヤーです。マーケティングツールの活用は、中小企業にとってメリットが大きいため活用する意味は大きい一方、サービスの範囲や品質が各企業それぞれ異なっており、自社にとって適切なパートナーやサービスをきちんと見極めることが肝要です。
⑤フリーランス・クラウドワーカー
フリーランスやクラウドワーカーの活用は、コストを抑えてマーケティングの目的を達成できる可能性を秘めたパートナーシップであり、近年は業務委託をする企業も増加しています。ただし法人ではなく個人であるが故のリスクも少なからずはらむことを肝に銘じないといけません。信頼できて実績のあるフリーランスやクラウドワーカーは、単価も決して安くはないため、コストを抑える以上のメリットがある場合に積極的に活用したい選択肢です。
まとめ
本記事は、中小企業マーケティング支援のガイドマップとなることを目指し執筆しました。自社のマーケティング目標を達成するために、さまざまな手法やプレイヤーを俯瞰したい方にとっては役に立てたのではないでしょうか。当事務所・ハッシュタグでも中小企業向けに二人三脚でのマーケティング支援を行っているので、ご興味がある方は気軽にご相談ください。
文:Harmonic Society株式会社代表・師田賢人/監修:中小企業診断士事務所ハッシュタグ代表・居戸和由貴
居戸 和由貴
【中小企業診断士】
生命保険会社、人材会社、戦略コンサルタント会社での経験を経て、2021年に中小企業診断士として独立。強みであるマーケティングとテクノロジーを軸に、中小企業の売上拡大を目的として活動