基本的なライティングのテクニック

今回の記事では、基本的なライティング・テクニックをご紹介いたします。
ライティングに特殊な才能やセンスは必要ありません。
基本的なルールを押さえておくことで、わかりやすい文を書くことができます。
ただし、表現方法はケースバイケースで変わりますので、絶対のルールではないことにご留意ください。

目次

一文一義

一文に言いたいことを盛り込み過ぎない

一文に言いたいことを盛り込み過ぎない

ひとつの文に、言いたいことを盛り込みすぎると、文が長くなり、わかりにくくなってしまいます。

そこで、“ひとつの文に、言いたいことはひとつまで” を意識してみます。

ありがちな例文と改善例

次の例文をご覧ください。

<例文>
購入は、こちらのサイトからお手続きいただき、お手続き完了から5日以内に商品をお届けいたしますので、今しばらくお待ちください。

例文では、ひとつの文に言いたいことが3つ盛り込まれており、わかりにくくなっています。

次に改善例をご紹介いたします。

<改善例1>
購入は、こちらのサイトからお手続きいただけます。
お手続き完了から5日以内に商品をお届けいたします。
今しばらくお待ちください。

<改善例2>
購入は、こちらのサイトからお手続きいただけます。
お手続き完了から5日以内に商品をお届けいたしますので、今しばらくお待ちください。

改善例では、ひとつの文で言いたいことを絞っています。

それによって、端的でわかりやすい文になりました。

主語の位置

文の途中に主語をおかない

修飾語の後に主語があると、読みにくい文になりやすいです。

そこで、“主語は文の最初にもってくる” を意識してみます。

ありがちな例と改善例

次の例文をご覧ください。

<例文>
3点以上の商品を購入しないと申し込めない今回のキャンペーンには、誰も申し込まないだろう。

例文では、途中まで文を読み進めないと主語がわかりません。
次に改善例をご紹介いたします。

<改善例>
今回のキャンペーンは、3点以上の商品を購入しないと申し込めないため、誰も申し込まないだろう。

改善例では、主語を文の最初に移動させました。
それによって、主語を意識しながら、その後の文を読み進めることができます。

主語と述語の関係

主語と述語をねじれさせない

主語と述語をねじれとは、主語と述語だけで文をつくったとき、文が成り立たない状態のことをいいます。

ねじれた文は、読み手にとって内容が理解しにくく、誤った理解につながるリスクもあります。

そこで、“主語と述語を正しく組み合わせる” を意識してみます。

ありがちな例と改善例

次の例文をご覧ください。

<例文>
当社の目標は、売上を倍にします。

例文を主語と述語だけにすると、
「目標は、倍にします」となり、
主語と述語の組み合わせが正しくありません。

次に改善例をご紹介いたします。

<改善例1>
当社の目標は、売上を倍にすることです。

<改善例2>
当社は、売上を倍にすることを目標としています。

いずれの改善例も、主語と述語が正しく組み合わされています。

それによって、読み手の負担を軽減できます。

修飾語と被修飾語の関係

修飾語と被修飾語がはっきりしていない

修飾語と被修飾語の関係がはっきりして文は、異なる意味をもってしまいます。

そこで、“修飾語と被修飾語を関係づける(+近づける)” を意識してみます。

ありがちな例と改善例

次の例文をご覧ください。

<例文>
青色の本棚に置かれている本を読んでください。

例文では、青色が「本棚」にかかっているのか、「本」にかかっているのかで複数の意味をもっています。

意味1:「青色」が「本棚」にかかっている
意味2:「青色」が「本」にかかっている

次に改善例をご紹介いたします。

<意味1での改善例>
・青色の本棚に置かれている、本を読んでください。
・「青色の本棚」に置かれている本を読んでください。

<意味2での改善例>
・本棚に置かれている、青色の本を読んでください。

改善例では、修飾語と被修飾語を関係づけることで、ひとつの意味になっています。

それによって、読み手による誤った受け取り方を回避できます。

わかりにくい指示代名詞

「あれ」「これ」「それ」を使わない

人や物を直接示す際に使われる代名詞を指示代名詞といいます。

日常でよく使われる「あれ」「これ」「それ」が、指示代名詞です。

指示代名詞は、繰り返し使用したり、不適切な位置で使用したりすると、読み手を混乱させます。

そこで、“指示代名詞を別の表現に言い換える” を意識してみます。

ありがちな例と改善例

次の例文をご覧ください。

<例文>
このミーティングには、セールス部門のメンバーとマーケティング部門のメンバーが出席していた。彼らは、今の施策に懸念を示していた。

例文では、「彼ら」という指示語が、誰を指しているか特定できません。

次に改善例をご紹介いたします。

<改善例>
このミーティングには、セールス部門のメンバーとマーケティング部門のメンバーが出席していた。
マーケティング部門のメンバーは、今の施策に懸念を示していた。

改善例では、混乱を生んでいた指示語を別の表現に言い換えることで、誰を指しているかを特定しています。

表現の重複

重複表現を使わない

重複表現とは、同じ表現を繰り返し使うことです。

話言葉で文をつくる際に起きやすいです。

そこで、“重複表現を使わない” を意識してみます。

気を付けたい重複表現の例

一例ですが、次のような重複表現があります。

まず最初に   → まず or 最初に
あとで後悔   → あとで or 後悔
断トツの1位  → 断トツ or 1位
かねてから   → かねて
違和感を感じる → 違和感を覚える or 違和感がある
今の現状    → 現状
受注を受ける  → 受注

重複表現かどうか悩んだ時には、国語辞典などで確認してみてください。

同じ表現の繰り返し

同じ表現を続けない

文章に、同じ表現が何度も繰り返し登場すると、幼稚な印象を与えてしまいます。

そこで、“表現方法に変化をつける” を意識してみます。

ありがちな例と改善例

次の例文をご覧ください。

<例文>
当社は、補助金に関するオンラインセミナーを行っています。他にも、さまざまなセミナーを行っています。

例文では、「行っています」が繰り返されているため、テンポが悪くなっています。

次に改善例をご紹介いたします。

<改善例1>
当社は、補助金に関するオンラインセミナーを実施中です。他にも、さまざまなセミナーを行っています。

<改善例2>
当社は、補助金に関するオンラインセミナーを実施中。他にも、さまざまなセミナーを行っています。

改善例1では、前半の文の「行っています」を「実施中です」に変えています。
また、改善例2では、体言止めに変えています。

それによって、単調ではない文になりました。

シンプルな文末

まわりくどい文末にしない

文末に「~していきます」「~することができます」といった表現をよく目にします。

このような表現が繰り返させると、まわりくどい印象を与えてしまいます。

そこで、“文末をシンプルにしてみる” を意識してみます。

ありがちな例と改善例

次の例文をご覧ください。

<例文>
御社にはマーケティングの支援をご提供することができます

次に改善例をご紹介いたします。

<改善例1>
御社にはマーケティングの支援をご提供できます。

<改善例2>
御社にはマーケティングの支援が可能です。

改善例では、まわりくどい文末の表現をシンプルにしています。

気を付けたい文末表現の例

文末表現では、複数の動詞をひとつの動詞に変えるだけでもシンプルになります。

一例ですが、次のような文末表現もおすすめです。

発注を行う → 発注する
改善を行う → 改善する
視聴を行う → 視聴する
入力を行う → 入力する
記録を残す → 記録する

まとめ

今回は、基本的なライティング・テクニックについて、例文を用いながら解説しました。基本的なルールを押さえておくことで、誰でもわかりやすい文を書くことができます。WEBライティングや記事執筆などで、ぜひ試してみてください。

執筆者:中小企業診断士 居戸 和由貴

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この記事を書いた人

【中小企業診断士】
生命保険会社、人材会社、戦略コンサルタント会社での経験を経て、2021年に中小企業診断士として独立。強みであるマーケティングとテクノロジーを軸に、中小企業の売上拡大を目的として活動

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