当てはまるメニューを探せ!事業再構築補助金第10回公募で変わった申請類型

令和5年も事業再構築金事業が実施されることとなり、本記事執筆現在は第10回公募期間です。第9回までと事業概要・目的レベルで比較すると、新型コロナウイルス感染症による業況低迷に対する支援を尽くす段階から、大きく将来志向的・前向きな内容に変化したと考えられます。

売上高等減少要件の原則撤廃を皮切りに、成長枠、グリーン成長枠、さらにはサプライチェーンの国内回帰といった積極的な新展開に対する補助額が高くなっていることもその表れです。さらに、賃金や給与支給総額の引上げなどの要件を満たすことにより、補助率や補助上限額引上げの恩恵も得られます。これらの補助は、着実な賃上げへのインセンティブとして機能し、従業員も実感できる仕組みとなるでしょう。

もっとも、業況が厳しい事業者向けにも、前述の類型より比較的補助上限額は低いものの、新型コロナウイルス感染症や物価の高騰によって業況の低迷から抜け出せない事業者、最低賃金引上げの影響を大きく受ける事業者らを引き続き厚く支援するメニューも設けられています。

この記事では、「グリーン成長枠」「卒業促進枠」「大規模賃金引上促進枠」「産業構造転換枠」「最低賃金枠」「物価高騰対策・回復再生応援枠」について解説します。ぜひ、ご自身の会社の現状を思い描きながら「どの類型に当てはまりそうかな?」といった観点で新メニューを見ていきましょう。

「成長枠」については、別途こちらの記事で紹介しています。参考にご覧ください。
未来志向に転向!事業再構築補助金第10回公募で何が変わった?

「サプライチェーン強靭化枠」については、こちらの記事で詳細に解説しています。
今、国内回帰すべき理由!事業再構築補助金第10回公募でサプライチェーン強靭化枠が創設

目次

全ての事業類型に共通する補助対象事業の必須要件

各補助対象事業には次の3つの共通する要件が定められており「第10回公募ではハードルが下がり多くの方が申請しやすくなった」という声もあります。

事業再構築要件

事業再構築要件とは、「事業再構築指針」で詳細が公表されている「新市場進出(新分野展開、業態転換)」「事業転換」「業種転換」「事業再編」「国内回帰」の5類型のいずれかに該当する補助事業でなければなりません。

認定支援機関要件

事業計画は申請者が作成し、認定経営革新等支援機関と相談の上、確認を受ける必要があります。補助金額が3,000万円を超える場合は、認定経営革新機関だけでなく金融機関による確認も受ける必要があります。

そして、それぞれが発行する「認定経営革新等支援機関による確認書」と「金融機関による確認書」を取得し、電子申請で添付する必要があります(ただし、金融機関が認定経営革新等支援機関を兼ねていれば「金融機関による確認書」だけでも可です)。

付加価値額要件

付加価値額とは、営業利益、人件費および減価償却費を足した額を指し、(申請時において)補助事業終了月が属すると見込まれる決算年度の付加価値額が、成果目標の比較基準となります。

付加価値額要件とは、補助事業終了後3〜5年で付加価値額の年率平均3.0%〜5.0%(申請枠により異なる)以上増加、または従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%〜5.0%(申請枠により異なる)以上増加する見込みの事業計画を策定することです。

事業再構築補助金第10回の申請類型メニュー

事業再構築補助金の第10回公募では、「売上高等減少要件」の撤廃を象徴として、以前よりもアクセスしやすい補助金となっています。それでは、それら申請類型メニューをご紹介しましょう。御社の新事業で活用できる可能性を検討しながらご覧ください。 

グリーン成長枠(エントリー)・グリーン成長枠(スタンダード)

「グリーン成長枠」は第6回公募で新設されて以来、他の申請類型と比較して潤沢な補助上限金額が設定されてきました。それだけ「カーボンニュートラル」という政策目標の実現と合致する事業再構築に取り組む中小企業等を強力に支援する補助内容となっています。

今回の公募では「エントリー」枠と「スタンダード」枠に分かれています。「スタンダード」枠は、第9回公募までの「グリーン成長枠」と全く同じ内容です。今回、設けられた「エントリー」枠では、付加価値額要件や研究開発・技術開発・人材育成に関する要件が緩和されており、有意義な補助事業へ参画できる敷居が下がっています。

項目内容
補助金額(エントリー) 中小企業者等 【従業員数20人以下】 100万円〜4,000万円 【従業員数21〜50人】 100万円〜6,000万円 【従業員数51人以上】 100万円〜8,000万円 中堅企業等 100万円〜1億円 (スタンダード) 中小企業者等 100万円〜1億円 中堅企業者等 100万円〜1.5億円
補助率中小企業者等 1/2(大規模な賃上げ(※1)を行う場合は2/3) 中堅企業等  1/3(大規模な賃上げ(※1)を行う場合は1/2) (※1)事業終了時点で、①事業場内最低賃金+45円、②給与支給総額+6%を達成すること【補助率引上要件】
補助事業
実施期間
交付決定日〜14か月以内(ただし、補助金交付候補者の採択発表日から16か月後の日まで) ※交付決定後自己の責任によらないと認められる理由により、補助事業実施期間内に完了することができないと見込まれる場合には事故等報告を提出する必要があります。補助事業実施期間の延長が認められる場合があります。
補助対象経費建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費、研修費
要件事業再構築要件 認定支援機関要件 付加価値額要件(グリーン成長枠(エントリー)は4.0%以上増加、グリーン成長枠(スタンダード)は5.0%以上増加) グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決に資する取組であって、その取組に関連する1年以上(エントリー)または2年以上(スタンダード)の研究開発・技術開発、または従業員の一定割合以上(エントリー:5%以上、スタンダード:10%以上)に対する年間20時間以上の人材育成をあわせて行うこと【グリーン成長要件】(※2) 事業終了後3〜5年で給与支給総額を年率平均2%以上増加させること【給与総額増加要件】(※3)

(※2)【グリーン成長要件】について
経済産業省が2021年に策定した「2050年カーボンニュートラルに伴う成長戦略」では、「エネルギー関連」「輸送・製造関連」「家庭・オフィス関連」の3種類の産業で14分野が「成長が期待される」とされており、グリーン成長枠での取組は、各分野で「課題」の解決に役立つものである必要があります。どの分野・課題の解決への取組か明確にしましょう。

参考:
「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」(概要資料)

「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」(本文)

(※3)【給与総額増加要件】について
補助事業実施期間終了時点が含まれる事業年度の給与支給総額を基準として、補助事業終了後の3〜5年の事業計画中、年率平均で2%(賃上げ加点」を受ける場合は3〜5%)以上増加させる契約を作成して実行する必要があります。
引き上げ方のルールなど、給与総額増加要件の詳細は公募要領をご確認ください。

卒業促進枠・大規模賃金引上促進枠

卒業促進枠および大規模賃金引上促進枠は、それらの類型の補助事業を通して、中小企業から中堅企業等に成長する(卒業促進枠)、または大規模な賃上げに取り組む(大規模賃金引上促進枠)事業者に対する上乗せ支援で、成長枠・グリーン成長枠との同時申請が可能です。これらの枠は、事業者に規模拡大や大幅賃上げを行うインセンティブを付与する趣旨のものです(卒業促進枠と大規模賃金引上促進枠の併用はできません)。

項目内容
補助金額(卒業促進枠) 成長枠・グリーン成長枠の補助金額上限に準じます。 (例:成長枠・中小企業者等・従業員数21〜50人の場合は100万円〜4,000万円) (大規模賃金引上促進枠)
100万円〜3,000万円
補助率中小企業者等 1/2 中堅企業等  1/3
補助事業
実施期間
交付決定日〜成長枠・グリーン成長枠の事業計画期間終了まで ※交付決定後自己の責任によらないと認められる理由により、補助事業実施期間内に完了することができないと見込まれる場合には事故等報告を提出する必要があります。補助事業実施期間の延長が認められる場合があります。
補助対象経費成長枠・グリーン成長枠の補助対象経費に準じます。 ただし、卒業促進枠・大規模賃金引上促進枠の補助対象経費は、成長枠またはグリーン成長枠の補助対象経費と明確に分ける必要があります。同一の建物や設備等を、卒業促進枠・大規模賃金引上促進枠と成長枠またはグリーン成長枠との両方で対象経費とすることはできません。
卒業促進枠
の要件
成長枠またはグリーン成長枠に申請する事業者であること 成長枠またはグリーン成長枠の補助事業終了後3〜5年で、応募申請時点の法人規模に応じ、以下の規模に成長すること【卒業要件】
応募申請時点で中小企業⇒特定事業者、中堅企業または大企業に成長
応募申請時点で特定事業者⇒中堅企業または大企業に成長
応募申請時点で中堅企業⇒大企業に成長 ※ 資本金および従業員数の基準、計画書の作成など、卒業要件の詳細は公募要領をご確認ください。
大規模賃金引上
促進枠の要件
成長枠またはグリーン成長枠に申請する事業者であること 成長枠またはグリーン成長枠の補助事業終了後3〜5年の間、事業場内最低賃金を年額45円以上の水準で引上げること【賃金引上要件】 成長枠またはグリーン成長枠の補助事業終了後3〜5年の間、従業員数を年率平均1.5%以上増員させること【従業員増員要件】 ※ 賃金引上要件における事業場内最低賃金の基準や所要の手続、従業員増員要件における従業員数の基準や計算方法、計画の作成など、各要件の詳細は公募要領をご確認ください。

産業構造転換枠

産業構造転換枠は、国内市場の縮小等の構造的な課題に直面しており、事業再構築が強く求められる業種・業態の事業者を重点的に支援するための申請類型です。

そのため、他の申請類型全般よりも補助率が高く設定され、また既存事業を廃止する場合には廃業費が補助対象経費として上乗せして認められます。

項目内容
補助金額【従業員数20人以下】 100万円〜2,000万円 【従業員数21〜50人】 100万円〜4,000万円 【従業員数51〜100人】 100万円〜5,000万円 【従業員数101人以上】 100万円〜7,000万円 ※ 廃業を伴う場合には、廃業費を最大2,000万円上乗せ
補助率中小企業者等 2/3 中堅企業等  1/2
補助事業
実施期間
交付決定日〜12か月以内(ただし、補助金交付候補者の採択発表日から14か月後の日まで) ※交付決定後自己の責任によらないと認められる理由により、補助事業実施期間内に完了することができないと見込まれる場合には事故等報告を提出する必要があります。補助事業実施期間の延長が認められる場合があります。
補助対象経費建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費、研修費、廃業費
要件事業再構築要件 認定支援期間要件 付加価値額要件(産業構造転換枠は3.0%以上増加) 現在の主たる事業が過去〜今後のいずれか10年間で、市場規模が10%以上縮小する業種・業態に属しており、当該業種・業態から別の業種・業態に転換すること【市場縮小要件】(※4)

(※4)【市場縮小要件】について
地域における基幹大企業が撤退することにより市町村内総生産の10%以上が失われると見込まれる場合を含み、当該要件を満たすことを示す基準や手続などに関する詳細は公募要領をご確認ください。

最低賃金枠

この10年間、全国の最低賃金は一貫して上昇しており、加重平均値で平成25年の764円から令和4年の961円へと約25.8%も伸びています。一方、それに見合う経済成長はなく、とりわけ中小企業は賃上げに頭を悩ませています。最低賃金枠では、その原資の確保が困難な特に業況の厳しい中で事業再構築を行う中小企業等を支援するものです。

項目内容
補助金額【従業員数5人以下】 100万円〜500万円 【従業員数6〜20人】 100万円〜1,000万円 【従業員数21人以上】 100万円〜1,500万円
補助率中小企業者等 3/4 中堅企業等  2/3
補助事業
実施期間
交付決定日〜12か月以内(ただし、補助金交付候補者の採択発表日から14か月後の日まで) ※交付決定後自己の責任によらないと認められる理由により、補助事業実施期間内に完了することができないと見込まれる場合には事故等報告を提出する必要があります。補助事業実施期間の延長が認められる場合があります。
補助対象経費建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費、研修費
要件事業再構築要件 認定支援期間要件 付加価値額要件(最低賃金枠は3.0%以上増加) 2022年1月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月間の合計売上高が対2019〜2021年の同3か月の合計売上高と比較して10%減少していること(当該要件を満たさない場合は、2022年1月以降の連続する6か月のうち、任意の3か月の合計付加価値額が対2019〜2021年の同3か月の合計付加価値と比較して15%以上減少していることでも可。)【売上高等減少要件】 2021年10月から2022年8月までの間で、3か月以上最低賃金+30円以内で雇用している従業員が全従業員数の10%以上いること【最低賃金要件】(※5)

(※5)【最低賃金要件】について
従業員の基準、人数の計算、必要書類などの詳細は公募要領をご確認ください。

物価高騰対策・回復再生応援枠

新型コロナウイルス感染症の蔓延や世界情勢の不安定化等によって供給の滞りが広がり、原油価格を筆頭に、物価高騰の影響は多くの分野・業界に深刻なダメージを与えています。
物価高騰対策・回復再生応援枠は、その影響を受け業況が厳しい事業者や事業再生に取り組む中小企業等の事業再構築を支援するものです。

項目内容
補助金額【従業員数5人以下】 100万円〜1,000万円 【従業員数6〜20人】 100万円〜1,500万円 【従業員数21〜50人】 100万円〜2,000万円 【従業員数51人以上】 100万円〜3,000万円
補助率中小企業者等 2/3 中堅企業等  1/2 ※ 従業員数5人以下の場合400万円、従業員数6〜20人の場合600万円、従業員数21〜50人の場合800万円、従業員数51人以上の場合は1,200万円までの補助率が中小企業者等は3/4、中堅企業等は2/3
補助事業
実施期間
交付決定日〜12か月以内(ただし、補助金交付候補者の採択発表日から14か月後の日まで) ※交付決定後自己の責任によらないと認められる理由により、補助事業実施期間内に完了することができないと見込まれる場合には事故等報告を提出する必要があります。補助事業実施期間の延長が認められる場合があります。
補助対象経費建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費、研修費
要件事業再構築要件 認定支援期間要件 付加価値額要件(物価高騰対策・回復応援枠は3.0%以上増加) 以下a、bいずれかを満たすこと 2022年1月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月間の合計売上高が対2019〜2021年の同3か月の合計売上高と比較して10%減少していること(当該要件を満たさない場合は、2022年1月以降の連続する6か月のうち、任意の3か月の合計付加価値額が対2019〜2021年の同3か月の合計付加価値と比較して15%以上減少していることでも可。)【売上高等減少要件】 再生事業者(Ⅰ.中小企業活性化協議会等において再生計画を策定中の者またはⅡ.中小企業活性化協議会等において再生計画を策定済かつ再生計画成立後3年以内の者)であること【再生要件】(※6)

(※6)【再生要件】について
再生計画等の種類や策定手続の状況により要件を満たすかどうかが異なります。詳細は公募要領をご確認ください。

まとめ

ここまで、事業再構築補助金の第10回公募における変更後の多彩な申請類型をご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。いまだ不確定要素の多い昨今、事業者の置かれている状況も実にさまざまです。そのような中、事業再構築補助金をご自身の事業で活用したいと意欲を持たれた経営者の方もおられるのではないでしょうか。

もっとも、ご紹介してきた申請類型も、実際に具体化する手続は、本来業務に追われる中で円滑に進めることは難しいのも現実です。

そこで、私たち「ハッシュタグ」だけに御社のご意向をお聞かせください。もし、事業再構築補助金に関する疑問点、あるいは希望やアイディアをお伝えくだされば、お悩みやご不安を解決し収益力を高めるべく、現状や時代に適した情報を見極め、御社に寄り添ったご支援を提供させていただきます。

ぜひとも、こちらの「お問い合わせ」まで御社の本音をお聞かせください。

執筆者:池谷 陽平、監修:中小企業診断士 居戸 和由貴

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この記事を書いた人

【中小企業診断士】
生命保険会社、人材会社、戦略コンサルタント会社での経験を経て、2021年に中小企業診断士として独立。強みであるマーケティングとテクノロジーを軸に、中小企業の売上拡大を目的として活動

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