中小企業では、自社の製品やサービスを、低コストかつ幅広い年齢層のユーザーにアピールできる「SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)」を用いたマーケティング活動が行われています。
SNSと生成AI「ChatGPT」をかけ合わせることで、SNSマーケティング業務の効率を向上させることができます。
ChatGPTとは、自然言語で対話できるAIチャットサービスです。ChatGPTに質問文(=プロンプト)を入力すると、それに応じた文章や画像が出力されます。
本記事では、このChatGPTを活用し、SNSエンゲージメント(=投稿に反応したユーザーの割合)を高め、自社のブランドイメージ向上につなげる方法を解説します。
SNSマーケティングとは?
SNSマーケティングとは、SNSを使ったマーケティング活動のことです。マーケティングとは、商品やサービスが自然に売れる仕組みを構築する活動を指します。
SNSがマーケティング活動で適用される場面は、市場調査や広告宣伝、ブランディングなど多岐に渡ります。企業は、SNSへの膨大な投稿を分析し、消費者のニーズ調査や広報活動を行います。
たとえば、製造業界では、顧客の関心が物理的な商品から体験やサービスへと変化しています。そのため、企業は顧客のニーズを理解し、それに合った製品を開発する必要があります。
そこで、ターゲットとなる顧客に製品を知ってもらい、購入を促すためのマーケティング活動が重要なのです。
SNSマーケティングのメリット
マーケティング活動でSNSを用いる利点は2つ挙げられます。
1つ目は、自社の商品やサービスを効率よく、幅広い世代に向けて宣伝できるという点です。SNSは、テレビ・新聞などのマスメディアと異なり、アカウント1つで広告活動を始めることができます。
また、近年は世代を問わず、SNSの利用率が上昇しています。
「令和3年通信利用動向調査」(総務省)では、ほぼ全ての世代において、SNS利用率が増加しているという結果が発表されました。
また、「SNS利用動向に関する調査」(ICT総研)では、日本全体のSNS利用者数が増加し続けていると報告されています。
たとえば、ネットユーザーに占める「LINE」利用率は約80%、次いでYouTubeが62%です。以下、Twitterが約56%、Instagramは約53%と続きます。Youtubeは、前回調査より40%も増加しており、利用率を押し上げた要因だと考えられます。
2つ目は、サービス提供側とユーザーが、SNSを用いることで対等な関係を構築できる点です。
たとえば、大手総合家電メーカーであるシャープのXアカウントでは、伝統的なメーカーというイメージに反し、堅い内容ではなく、日常的な内容をポスト(=投稿)しています。
たとえば、以下のような投稿があります。
さらに、シャープアカウントは、ユーザーからのリプライにも積極的に反応しています。この効果で、メーカー側とユーザー側がフラットな関係を築くことができ、「親しみやすさ」というブランディングを作ることができます。
ChatGPTを利用したSNSマーケティング
ChatGPTが持つ自然言語処理の技術を利用することで、自社の製品・サービスに対するペルソナ(=ターゲット顧客)へのアプローチが、より簡単かつ効果的になります。
それは、ChatGPTが、ペルソナの使用する言葉遣いや好みをすばやく理解し適応できるからです。
たとえば、若者をターゲットにした商品販売では、流行のスラングや表現を用いてコミュニケーションすることで、より響きやすく、効果的なメッセージを届けることができます。
これにより、マーケティング戦略に欠かせないペルソナ設定が容易になり、より精度の高いアプローチが実現できるようになります。
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SNSエンゲージメントを高めるためのChatGPT活用方法
SNSの宣伝効果を測る指標に、「SNSエンゲージメント」があります。
SNSエンゲージメントとは、自社アカウントの投稿に、ユーザーがどれくらい反応したかをあらわす数値です。たとえば、「いいね」や「RT」、「リンクのクリック」数などを指します。
SNSエンゲージメントを高めることで、広告宣伝効果も自然に増加していきます。
しかし、SNSエンゲージメントを向上させるためには、人の手で、SNS運用に多くの時間を使わなければなりません。
そこで、生成AI「ChatGPT」を用いた、SNS運用の効率化が期待されているのです。
以下、3つの使い方を説明します。
投稿する文章の作成
ChatGPTを用いると、SNSのエンゲージメント向上につながる投稿内容を作成できます。
たとえば、自社の広報用Twitterアカウントのポスト内容を、ChatGPTに考えてもらうことも可能です。
ここで、以下の想定場面から、ChatGPTにプロンプトを投げかけてみます。
<想定場面>
業界:製造業
シーン:自社製品宣伝のためのSNS投稿を行う場面
問題・課題:投稿内容を考え、文章を作成することに時間がかかる
<プロンプト>
#命令書:
あなたは、製造業界に勤める中小企業のマーケティング担当者です。
あなたは、自社の製品やサービスを宣伝することが得意です。
以下の条件・想定場面・製品情報に従い、SNS用の投稿文章を作成して下さい。
#条件:
・文章は、ビジネストーンで生成して下さい。
・文章は、丁寧な言葉遣いで生成して下さい。
・文章は、1つのパラグラフで作成して下さい。
・文章の構成は、以下の4文で行ってください。
①:商品のキャッチフレーズ
②:いままでの課題や問題
③:商品が解決する具体的内容
④:購買を誘導する〆の言葉
#想定場面:
・SNS:X(Twitter)
・文字数:140文字以内
・記事数:5個
・絵文字:なし
・ハッシュタグ:あり
#製品情報
・製品:生活に便利な、新しい家電製品 ・ターゲット:一般消費者(30-40代をメインと
このプロンプトに対し、以下の出力が返ってきました。
このように、発信内容のアイデア出しや文章作成に大きな力を発揮します。
投稿内容の分析
自社のアカウントからSNSに公開した投稿を分析することで、SNSエンゲージメントを高めるための対策につなげることができます。
ここにChatGPTを使用すると、従来よりも分析をすばやく行えるようになります。
まずはX(旧:Twitter)Analyticsのデータを用意します。データは、以下の手順で入手することができます。
Twitterアカウントにログイン
↓
ホーム画面から「Monetization」を選択
↓
「Creator Studio」を選択
↓
「Analytics」を選択
↓
XのAnalytics画面にジャンプ
↓
画面左上から「Tweets」を選択
↓
画面右上から「データをエクスポートする」を選択
↓
「By Tweet」を選択
この流れで、自社アカウントのポストデータをCSV形式で保存することができます。
具体的には以下のようなデータを見ることができます。(一部抜粋)
次に、このデータをChatGPTに投げかけます。
なお、今回は、執筆者(=那須)自身のXアカウントを用いて、どのような発信を行えばSNSエンゲージメントを高めることができるかを考えてもらいます。
プロンプトは以下の通りです。
#命令:
あなたは、SNSのエンゲージメントを高めることが得意です。
これからあなたに、X(旧:Twitter)のポスト(=投稿)に関するExcelデータを提供します。
以下の#出力形式、#ガイドラインに従い、エンゲージメントを高める方法を考えて下さい。
#出力形式:
以下の手順で出力して下さい。
①:Excelデータから根拠を複数示す(実際の投稿文章を必ず引用して下さい)
②:そのデータから分かる客観的な事実を述べる
③:その事実から、どうすればエンゲージメントを高めることができるかを考える
#ガイドライン:
・すべて日本語で回答して下さい。 ・①~③は、それぞれ250文字程度で回答して
このプロンプトから、以下の内容が出力されました。
回答内容から、エンゲージメントを高める方法を抜き出します。
この分析を踏まえると、エンゲージメントを高めるためには、ChatGPTや類似のAI技術に関する最新のトピックや体験を共有することが有効です。また、個人的な意見や体験を交えることで、フォロワーとの共感や対話を促し、エンゲージメントを増やすことができます。興味深い情報や独自の視点を提供することで、フォロワーの関心を引き、より多くのリアクションを得ることが期待できます。
これをたたき台に使用することで、エンゲージメント向上策を導きやすくなります。
リプライの自動作成
ChatGPTは、ユーザーへのリプライ内容を自動で生成することができます。
これにより発信側は、ユーザーとのコミュニケーション回数を増やすことが可能です。また、特定のユーザーとつながりを深めることはもちろん、新しいユーザーと交流を行う機会も増えるでしょう。
しかし、ユーザーからのリプライに対し、アカウントの運営者がその都度返信するというのは非常に大変な作業です。
そこで、ユーザーからのリプライ内容を抽出し、ChatGPTに返信を出力してもらい、その生成内容を投稿することで、作業負荷を大きく減らすことが可能です。
たとえば、「Python」や「ChatGPT API」を用いて、指定したキーワードを含むポストに対し、自動返信を行うプログラムを組む方法などが考えられます。
ChatGPTによる返信代行が可能になれば、効率よくSNSエンゲージメントを高めることができるようになります。
ChatGPTをSNSマーケティング活動で活用する際の注意点
ChatGPTは、2023年4月までの情報をもとに回答を出力します。
SNSのトレンドは日々目まぐるしく変化するため、ChatGPTの回答内容に古い情報が含まれていないか確認することが必要です。
また、ChatGPTの出力に、倫理的問題のある表現が含まれている可能性もゼロではありません。
仮に、これを見逃して問題のある内容をそのまま投稿してしまうと、たちまち拡散され、「炎上」することが想定されます。
炎上は、ブランドイメージの失墜につながります。SNSマーケティングに限らず、ChatGPTを業務で使用する際は、必ず人間の目で内容を精査しましょう。
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まとめ
ChatGPT用いたSNSエンゲージメントを高める方法を解説しました。
SNSマーケティングにおける投稿内容の考案などにChatGPTを用いると、効率的にSNSエンゲージメントを高めることができます。
自社でSNSマーケティング活動を行っている方は、ぜひ一度、ChatGPTの使用を検討してみてはいかがでしょうか。
ハッシュタグでは、中小企業向けのChatGPT導入サポートも行っております。
無料でのご相談・お見積もりを承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
執筆者:生成AIライター 那須 太陽、監修者:Harmonic Society株式会社 代表取締役兼CEO 師田 賢人、中小企業診断士:居戸 和由貴
師田賢人
【Harmonic Society株式会社 CEO】
外資系コンサル、Webエンジニア、Webライター、フォトグラファーを経て、2023年にHarmonic Society株式会社を設立。
企業の経営の悩みを言葉で解決している。一橋大学商学部卒。
居戸 和由貴
【中小企業診断士】
生命保険会社、人材会社、戦略コンサルタント会社での経験を経て、2021年に中小企業診断士として独立。強みであるマーケティングとテクノロジーを軸に、中小企業の売上拡大を目的として活動