本記事では、最近よく聞くNFT、メタバースについて概要を解説します。どのトピックもこれからのビジネスをする上で知っておいて損はないので、ぜひ参考にしてみてください。
NFTが注目されている背景
（Non-Fungible Token）とは、データの所有権をブロックチェーンで証明できる資産を指します。Non-Fungibleは、非代替性というであり、替えがきかないという意味です。例えば、1万円札は他の1万円札と代替できますが、1点ものの現物アートは他のアートと代替することはできないため、Non-Fungibleです。ちなみに、トークンとは暗号資産（仮想通貨）とほとんど同義です。
NFTが最初に話題になったのは、デジタル猫（NFT）を育成・交配するブロックチェーンゲーム「クリプトキティーズ（2017）」がきっかけでした。ゲーム内のデジタル猫の所有権をブロックチェーンに刻むことで、それらに資産価値が生まれたのです。ただし業界内で小さく盛り上がっただけで、一般に知られることはありませんでした。
風向きが変わったのは、2021年3月にアーティストのBeepleのNFT作品が米老舗オークションハウス・クリスティーズで約75億円で落札されたことでした。現代アートでは新しいコンテクストを重視するので、NFTというコンテクストの象徴的な作品ということでこの価格がついたと考えられます。この出来事は大きく話題になり、NFTという言葉が一般に認知されるようになります。下表は2021年に高額で取引されたNFT一覧です。
| ジャンル | 価格 | NFTの発行元 | 時期 |
|---|---|---|---|
| ゲーム内の土地 | 約1億5,000万円 | Axie Infinity | 2021年2月 |
| トレーディングカード | 約2,200万円 | NBA Top Shot | 2021年2月 |
| ミーム画像 | 約6,300万円 | Nyan Cat | 2021年2月 |
| デジタルアート | 約1,300万円 | せきぐちあいみ | 2021年3月 |
| デジタルアート | 約75億円 | Beeple | 2021年3月 |
| Twitterのツイート | 約3億1,600万円 | ジャック・ドーシー | 2021年3月 |
| デジタルアート | 約8億1,400万円 | CryptoPunks | 2021年3月 |
| デジタルアート | 約7,500万円 | AIロボットのソフィア | 2021年3月 |
| 写真データ | 約1億6,600万円 | 波多野結衣 | 2021年5月 |
| 写真データ | 約4億7,000万円 | Dogeコイン | 2021年6月 |
| WWWのソースコード | 約6億円 | ティム・パーナーズ=リー | 2021年11月 |
現在はNFTマーケットプレイス事業にLINEやSBI、GMOなど大手企業が参入しています（下表）。なお、世界最大のNFTマーケットOpenseaの時価総額は1.5兆円を超えており、月次取引高は約3,000億円です。
| サービス | 提供元 | 取り扱いNFT |
|---|---|---|
| NFTマーケットB | LVC | アート、トレカ |
| nanakusa | SBINFT | アート、写真、トレカ、 音楽、ビデオなど |
| Adam byGMO | GMOアダム | アート、漫画、イラスト、 音楽、トレカなど |
| Coincheck NFT | コインチェック | ゲーム内アイテム、トレカ、 アバターなど |
| miime | コインチェック テクノロジーズ | ゲーム内アイテム |
代表的なメタバースの分類
メタバースとは、インターネットにつながった3次元のバーチャル空間でVR、AR、MRなどの技術を活用して複数のユーザーが楽しめる世界です。言葉の起源は小説『スノウ・クラッシュ（1992）』にあります。一般的には、VR空間であることが条件ですが、2次元空間を含むこともあります。細田守監督の作品『サマーウォーズ（2009）』や『竜とそばかすの姫（2021）』の世界をイメージしてもらうとわかりやすいのではないでしょうか。
2021年10月にFacebookが社名をMetaに変更したことに象徴されるように、メタバースは今非常に注目を集めています。そしてメタバース内のアバターやコスチューム、アイテムなどにNFTが使われています。現在、主流となるメタバースの一覧をまとめたのが下図です。
中小企業にとって、メタバースには、以下のようなユースケースが考えられます。
メタバース上に出展、NFTを販売
低コストでバーチャルイベントを開催
コミュニケーションツール（Web会議、商談など）
次章では、NFT×メタバースの最前線としてAxie Infinityの事例を考察します。
【事例】Axie InfinityのNFT×メタバース
ブロックチェーンゲーム「Axie Infinity」上のアクシー（架空の生物）と土地（ランド）は、NFTであるため、市場で売買することができます。もちろん、高値でアクシーを売却するためには、ゲーム内でアクシーを育成し繁殖させて価値を高める必要があります。
ユーザーは、ゲーム内の対戦で勝利するとSLP（Smooth Love Portion）というトークンを獲得でき、暗号資産取引所で売却可能です。
AXIE INFINITYの革新的なポイントは、「遊んで稼ぐ（Play to Earn）」のモデルを確立したことにあります。実際に、AXIE INFINITYで生計を立てているユーザも平均賃金の安い発展途上国を中心に多くいるようです。
まとめ：NFT×メタバースのポテンシャル
メタバース並びにNFTには大きなビジネスチャンスが眠っています。これからの時代に生き残る企業になるために、これらの最新トレンドにぜひ関心を持ち、キャッチアップし備えておくことが求められるのではないでしょうか。
