2023年9月21日、OpenAIは、ChatGPTに画像生成機能「DALL-E 3」を追加したと発表しました。
「DALL-E 3」を使うと、以下のような画像が、数分のうちに生成できます。
この機能を利用することで、中小企業のバナー作成業務に役立てることができます。
そこで今回は、「DALL-E 3」の機能を説明します。
ChatGPTのDALL-E 3(DALEE3)の概要
「DALL-E 3」は、言葉だけで画像を生成するツールです。OpenAIが開発した「DALLシリーズ」の最新版で、生成能力が前作より大幅に向上しています。
現在は、ChatGPT有償版(=ChatGPT Plus)の加入者のみに提供されています。
「DALL-E 3」の特徴は、ChatGPTに抽象的な言葉を投げかけるだけで、イメージ通りの画像が生成できることです。
また、ChatGPTとの対話を通して、生成画像のイメージをある程度調整することもできます。
DALL-E 3(DALEE3)の使い方
※ChatGPTは2023年11月6日にアップデートが行われ、「DALL-E 3」の使い方にも変更がありました。以下の説明は、最新バージョンの画像を用いています。
まず、ホーム画面から左上の「ChatGPT~」と書かれたアイコンをクリックします。
次に、GPT-4を選択します。
これで事前準備は完了です。
次に、ホーム画面へ戻り、ChatGPTへプロンプト(=質問文)を入力していきます。
今回は、以下のプロンプトを入力します。
「ロボットアームが部品を組み立てる様子」についての画像を生成して下さい。
すると、約30秒で以下の画像が生成されました。
このように、抽象的な質問を入力するだけで、イメージ通りの画像が生成されます。
<h2>>DALL-E 3(DALEE3)の生成画像からプロンプトを得る方法</h2>
「DALE-E 3」で生成した画像をクリックし、右上の「i」マークを押すと、右側に「画像のプロンプト」が表示されます。
プロンプトは、以下のように記されています。
<プロンプト>
A robotic arm assembling parts in a factory setting. The scene shows the arm precisely placing small mechanical components onto a conveyor belt. The background features an industrial environment with other robotic arms working, metal shelves filled with parts, and soft overhead lighting casting a futuristic glow. The main focus is on the intricate movements of the robotic arm, demonstrating advanced technology and automation in manufacturing.
<日本語直訳>
工場で部品を組み立てるロボットアーム。このシーンでは、アームが小さな機械部品をベルトコンベアに正確に載せている。背景には、他のロボットアームが働く産業環境、部品でいっぱいの金属棚、未来的な輝きを放つ柔らかな頭上照明が配されている。主な焦点はロボットアームの複雑な動きで、製造業における高度な技術と自動化を示している。
このように「DALL-E 3」では、生成画像のプロンプトが公開されています。このプロンプトは、自分や他のユーザーが、似たようなテーマの画像を生成したい場合に役立ちます。
実際に、上記のプロンプトをChatGPTに入力すると、以下の画像が生成されました。
このように、コピーしたプロンプトを「DALL-E 3」に入力することで、元の画像と似たような画像を生成することができます。
「DALL-E 3」を中小企業のバナー制作に活用する方法
バナーは、中小企業の商品・サービスをPRする広告や、サイトを彩るために用いる画像として幅広く使用されます。
バナーには、視認性の良いキャッチーな画像・イラストを用いるため、制作に時間やコストが発生します。ここに「DALL-E 3」を活用することで、
・知識がなくても画像やイラストを制作できる
・制作に関する外注費用を減らすことができる
・他サイトとイメージの重複を避けることができる
といったメリットがあります。
たとえば、次のようなプロンプトを入力します。
#命令:
あなたはプロのWebデザイナーです。
あなたはこれから、バナー画像の背景に用いるワンポイントのイラストを描きます。
以下の条件、想定場面に従って、最高のイラストを出力して下さい。
#条件:
・シーン:ビジネス
・トーン:明るい
・色合い:青、緑
・表現:シンプル、ロゴ
・イメージ:フラット、ミニマル
・背景:白
・形:正方形
#想定場面:
・バナーは、中小企業のホームページで用います
・イラストは、「パソコンとスマホ」をイメージして下さい
・より洗練されたハイクオリティなイラストを描いてください
すると、以下の画像が生成されました。
この生成画像は、冒頭で示したものと同じです。
なお、プロンプト内の「#想定場面」にある、
・イラストは、「パソコンとスマホ」をイメージして下さい
という一文を、
・イラストは、「スピードアップと時計」をイメージして下さい
に変更すると、冒頭で示したもうひとつの画像が生成されます。
他にも、プロンプトの条件や想定場面を変更することで、自分のイメージに近いさまざまな内容の画像が生成できます。
このイラストをバナー画像の一部に組み込むことで、より視認性が高く、キャッチーなデザインのバナーがすばやく完成できます。
また、AIが出力する画像は、生成する度に異なるイメージへと変化します。この効果により、他社のバナーとイメージが重なることも減り、独自性の高い制作物を作ることができます。
DALL-E 3(DALEE3)を使うときの注意点【著作権、商用利用】
※以下は、2023年11月12日現在の情報です。
「DALL-E 3」を使うときの注意点は、以下の2つです。
・「AIが生成した」ことが分かる文章を明記すること
・生成物の取扱いに関しては、ユーザーの自己責任であること
順に説明します。
「AIが生成した」ことが分かる文章を明記する
OpenAIは、「DALL-E 3」で作成した画像の使用について、以下のように述べています。(引用元)
Q,Can I sell images I create with DALL·E?
(DALL-Eで作成した画像を販売することはできますか?)
A,Subject to the Content Policy and Terms, you own the images you create with DALL·E, including the right to reprint, sell, and merchandise – regardless of whether an image was generated through a free or paid credit.
(コンテンツポリシーと規約に従い、DALL·Eで作成した画像は、無料または有料のクレジットを利用して作成された画像に関わらず、転載、販売、商品化する権利を含め、あなたの所有となります。)
ただし、OpenAIのコンテンツポリシーでは、次のように明記されています。
<原文>
Don’t mislead your audience about AI involvement.
When sharing your work, we encourage you to proactively disclose AI involvement in your work.
You may remove the DALL·E signature if you wish, but you may not mislead others about the nature of the work. For example, you may not tell people that the work was entirely human generated or that the work is an unaltered photograph of a real event.
<日本語直訳>
AIの関与について視聴者に誤解を与えないようにしましょう。
作品を共有する際には、AIが作品に関与していることを積極的に開示することをお勧めします。
DALL-Eの署名は削除してもかまいませんが、作品の性質について他者を誤解させるようなことはしないでください。たとえば、その作品がすべて人の手によって制作されたものであるとか、実在の出来事をそのまま撮影したものであるといったことを伝えてはいけません。
つまり、現時点では、「DALL-E 3」から生成された画像を使用するとき、「AIが生成した」と記すことが必要だといえます。
生成物の取扱いは自己責任である
OpenAIの規約「第3項(a)」の後半部分には、著作権について次のように記されています。
<原文>
Subject to your compliance with these Terms, OpenAI hereby assigns to you all its right, title and interest in and to Output. This means you can use Content for any purpose, including commercial purposes such as sale or publication, if you comply with these Terms. OpenAI may use Content to provide and maintain the Services, comply with applicable law, and enforce our policies. You are responsible for Content, including for ensuring that it does not violate any applicable law or these Terms.
<日本語直訳>
お客様が本規約を遵守することを条件として、OpenAIは、アウトプットに関するすべての権利、権原および利益をお客様に譲渡します。つまり、お客様は、本規約を遵守する限り、販売や出版などの商業目的を含め、いかなる目的にもコンテンツを使用することができます。OpenAIは、本サービスを提供および維持し、適用法を遵守し、OpenAIのポリシーを実施するために、コンテンツを使用することがあります。お客様は、コンテンツが適用される法律または本規約に違反しないことを含め、コンテンツについて責任を負うものとします。
以上のことから、生成画像の著作権は「OpenAIから譲渡」されているようです。
しかし、DALL-E 3により生成された画像は、過去の人間による作品を元に構成されており、著作権の譲渡先が「AI」なのか、「AIの開発者」や「ユーザー」にあるのかは分かりません。この点は、生成AIに関する法律制定の動向を見守ることが大切といえます。
さらに、OpenAIのコンテンツポリシーでは、「公人・他人を元にしたもの」、「有害(差別的、暴力的、性的)なもの」についても、生成や共有が禁じられています。
したがって、生成物の取扱いに関しては、ユーザーの自己責任であると考えられます。
まとめ
今回は、ChatGPT「DALL-E 3(DALEE3)」の機能を紹介しました。
ChatGPT内に画像生成機能が備わったことで、中小企業のバナー制作など、さまざまな場面での活用が期待されます。
注意点として、「DALL-E 3」の生成画像を使用する場合は、「AIが生成した」ことが分かる一文を明記しましょう。
ハッシュタグでは、中小企業向けのChatGPT導入サポートも行っております。
無料でのご相談・お見積もりを承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
執筆者:生成AIライター 那須 太陽、監修者:Harmonic Society株式会社 代表取締役兼CEO 師田 賢人、中小企業診断士:居戸 和由貴
師田賢人
【Harmonic Society株式会社 CEO】
外資系コンサル、Webエンジニア、Webライター、フォトグラファーを経て、2023年にHarmonic Society株式会社を設立。
企業の経営の悩みを言葉で解決している。一橋大学商学部卒。
居戸 和由貴
【中小企業診断士】
生命保険会社、人材会社、戦略コンサルタント会社での経験を経て、2021年に中小企業診断士として独立。強みであるマーケティングとテクノロジーを軸に、中小企業の売上拡大を目的として活動