ChatGPTの「Custom instructions」機能を紹介!中小企業の使いどころは?

2023年10月31日、東京商工会議所は「中小企業のための『生成AI』活用入門ガイド」の第2版を発行しました。

同ガイドでは「ChatGPT」が注目され、中小企業の効果的な使用方法も焦点になっています。このようにChatGPTは、中小企業や経済界でも注目されているのです。

これは、生成AIに興味をお持ちの中小企業経営者にとって、ChatGPTを活用する絶好のタイミングとなり得ます。

そこで今回は、中小企業の経営者が、ChatGPTをより効率良く使うための「Custom instructions」機能について紹介します。

目次

2023年7月21日、OpenAIはアップデートを行い、ChatGPTに「Custom Instructions」機能を追加しました。

Custom Instructionsは、ChatGPTの無料会員でも使用できます。

※2023年8月9日より無料ユーザーにも解放されました。

これによりユーザーは、ChatGPTへの「よく使う指示」を事前に設定しておくことが可能となりました。

たとえば、以下のような指示をあらかじめ設定することができます。

・表形式の出力
・文末表現の固定
・文章トーンの設定

この効果で、ユーザーが行うChatGPTへの指示回数を減らすことができます。

メリットは以下の4つです。

・繰り返し入力の手間が省ける
・トークン数を節約できる
・対話忘れが減る
・プラグインを併用できる

Custom instructions機能は、同じ指示を繰り返し入力する手間を省くことができるため、ChatGPTとの対話時間・労力を節約できます。

加えて、よく使うプロンプトをCustom instructionsに設定すれば、トークン数(入出力の文字数制限)の節約にも繋がります。

また、ChatGPTは、長く対話を続けると、以前の設定を忘れてしまうことがあります。この「対話忘れ」が減ることで、出力内容の一貫性が保たれ、対話のやり直し作業が減ります。

さらに、プラグインを併用できることも魅力です。プラグインを使用することで、ChatGPTの回答精度を高めることができます。

関連:【中小企業向け】ChatGPTのプラグイン(Plugins)とは?

以上のことから、ユーザーは、よりスムーズにChatGPTを使用できるのです。

Custom instructionsの使い方を詳しく説明します。今回は「表形式の出力」という設定を試してみましょう。

まず、ChatGPTのインターフェース(=ホーム画面)にアクセスし、画面左下にある名前(=ご自身)の箇所をクリックします。

すると、以下のような一覧が表示されます。

ここから、「Custom instructions」を選択し、設定画面を開きます。

次に、指定された入力欄に、設定項目を入力します。設定項目は2か所あり、次のような役割を持っています。

上側:ChatGPTに知って欲しい内容
下側:具体的な出力方法

今回は、以下のように入力しました。

<上側>

What would you like ChatGPT to know about you to provide better responses?
(より良い回答を提供するために、ChatGPTに何を知ってもらいたいですか?)

私は、ChatGPTに興味・関心を持つ中小企業の経営者に向け、さまざまなトピックを分かりやすく説明しています。

<下側>

How would you like ChatGPT to respond?
(ChatGPTにどのように対応してほしいですか?)

具体的な事例を含めて、表形式で回答してください。

実際の画面では、以下のようになります。

右下の「Save」をクリックして保存すると、ChatGPTは指示内容に従い、回答を表形式で提示するようになります。

それでは、実際に確かめてみましょう。
ホーム画面に戻って、以下のプロンプトを投げかけてみます。

自社の採用を増やすため、ウェブページを制作したいです。
ChatGPTを活用できる場面について教えて下さい。

これに対しChatGPTからは、以下の回答が返ってきました。

ChatGPTの回答をみると、自社の採用ウェブページにChatGPTを活用する方法として、

・自動応答システム
・FAQセクションの充実
・履歴書、職務経歴書作成支援
・キャリアパス案内
・採用イベントの案内
・カスタマイズされた応募体験

といった提案が「表形式」で示されています。

このように、Custom instructions機能を使用することで、一貫したフォーマットの情報を受け取ることができるのです。

中小企業の経営者は、ChatGPTを経営戦略や経営課題解決のアドバイスツールとして使うことができます。

たとえば、以下のような場面があります。

・教育的な対話のカスタマイズ
・自社製品のサポート自動化
・経営アドバイザー

その中から、今回は、架空の企業概要・企業理念をChatGPTに作成してもらい、それを基にCustom instructionsで経営戦略・経営課題解決のアドバイスを出力してもらいます。

まず、前提として以下のような企業を想定します。

<前提条件>

企業概要

・企業名:〇〇ウェブマーケティング株式会社
・設立:2010年
・所在地:関東地方
・業務内容:ウェブマーケティング、オンライン販売、顧客サポート
・従業員数:小規模チーム
・主な製品/サービス:自社開発のオンライン製品

企業理念

・顧客中心主義:顧客との直接的なコミュニケーションを通じて、顧客満足度を最大化する。
・革新と効率:最新のテクノロジーを取り入れて、マーケティング活動の効率化を図る。
・チームワーク:小さいながらも緊密なチームで、マーケティング、カスタマーサポート、製品開発を一体的に行う。
・持続可能な成長:質の高い製品とサービスを提供し、事業の拡大とブランド認知度の向上を目指す。
・ROI重視:投資対効果を重視し、効果的な戦略を採用する。

次に、Custom instructionsの2か所の設定欄に、次のようなプロンプトを入力します。

<上側>
What would you like ChatGPT to know about you to provide better responses?

#命令:

あなたは優秀な経営コンサルタントです。

「#前提条件」に従って、中小企業の経営者に対し、経営戦略・経営課題解決のアドバイスを行ってください。

#前提条件:

企業概要

・企業名:〇〇ウェブマーケティング株式会社
・設立:2010年
・所在地:関東地方
・業務内容:ウェブマーケティング、オンライン販売、顧客サポート
・従業員数:小規模チーム
・主な製品/サービス:自社開発のオンライン製品

企業理念

・顧客中心主義:顧客との直接的なコミュニケーションを通じて、顧客満足度を最大化する。
・革新と効率:最新のテクノロジーを取り入れて、マーケティング活動の効率化を図る。
・チームワーク:小さいながらも緊密なチームで、マーケティング、カスタマーサポート、製品開発を一体的に行う。
・持続可能な成長:質の高い製品とサービスを提供し、事業の拡大とブランド認知度の向上を目指す。
・ROI重視:投資対効果を重視し、効果的な戦略を採用する。

<下側>

How would you like ChatGPT to respond?

箇条書きで出力して下さい。
分かりやすい言葉で回答して下さい。

続いて、ホーム画面から、以下のようなプロンプトを入力します。

自社の新規採用者を増やしたいのですが、新卒世代に対し、自社の認知が薄いという悩みを抱えています。

これに対し、ChatGPTから以下の回答が得られました。

この回答から、気になるトピックを深く掘り下げて対話を進めることで、より詳しいアドバイスを得ることができます。

このように、Custom instructionsに企業概要や企業理念を設定することで、ChatGPTを経営コンサルタント代わりに活用できるのです。

Custom instructionsは非常に便利な機能ですが、使用に際していくつかの注意点があります。

まず、Custom instructionsの設定と、入力するテキストの内容が矛盾しないようにすることが大切です。

たとえば、設定で「丁寧な言葉で」としている場合、対話で「カジュアルな言葉遣いで」と指示しないようにしましょう。このような矛盾は、ChatGPTの出力に混乱をもたらす可能性があります。

また、Custom instructionsの設定を使いたくない時は、設定をオフにすることが必要です。頻繁にオンオフをしなければならない時は、Custom instructionsではなく「GPTs

」※を活用することが望ましいでしょう。

※GPTs(GPT Builder)は、ユーザーが個々のニーズや関心に合わせて、独自のChatGPTモデルを設計・調整できるツール。

Custom instructionsは、ChatGPTの使用を効率化させる機能です。

ユーザーは、よく使用するプロンプトや特定の応答フォーマットを事前に設定することで、時間を節約し、対話の一貫性を保つことができます。

中小企業においては、日々の業務プロセスを簡素化し、経営上の意思決定を支援するための有用なツールとなります。

ハッシュタグでは、中小企業向けのChatGPT導入サポートも行っております。

無料でのご相談を承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

執筆者:生成AIライター 那須 太陽、監修者:Harmonic Society株式会社 代表取締役兼CEO 師田 賢人、中小企業診断士:居戸 和由貴

監修者

師田賢人

【Harmonic Society株式会社 CEO】

外資系コンサル、Webエンジニア、Webライター、フォトグラファーを経て、2023年にHarmonic Society株式会社を設立。
企業の経営の悩みを言葉で解決している。一橋大学商学部卒。

監修者
ハッシュタグ居戸和由貴
ハッシュタグ居戸和由貴

居戸 和由貴

【中小企業診断士】

生命保険会社、人材会社、戦略コンサルタント会社での経験を経て、2021年に中小企業診断士として独立。強みであるマーケティングとテクノロジーを軸に、中小企業の売上拡大を目的として活動

よかったらシェアお願いします!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

【生成AIライター】
鉄道会社での勤務を経て、2022年8月からWebライターとして活動中。ChatGPTなどの生成AIを研究し、人間とAIのタッグでより良い文章作成を行います。

目次