【調査結果】製造業でもテレワークしたい人は多い。デジタル技術の活用による、テレワークの実現

コロナ禍の影響により、テレワークを導入する企業の数が増えていますが、業種・職種によりテレワーク導入の難易度は異なります。本記事では、現場で働くイメージが強くテレワークへの移行が困難と思われる「製造業」において、どうすればテレワークを実現できるのか考察します。製造業を営む中小企業の経営者の方でテレワークに関する悩みを抱えている方は、本記事を読むことでテレワークをどのように実践すればいいか示唆が得られるはずです。

目次

テレワークを実施する製造業の企業は減少傾向。従業員はテレワークで働きたい

ハッシュタグの2020年4月以降にテレワークをしたことがある製造業の会社員122名に対するアンケート調査によると、73(23人+50人)人がテレワークの頻度が減少したと回答(下図)。

一方、テレワークを今後定期的に実施したいかという質問に対して、78人(26人+52人)がテレワークを実施したいと回答しています(下図)。

要するに、製造業を営む企業のテレワークの頻度は減少傾向にあるが、従業員はテレワークを実施したいという気持ちが強く、ミスマッチが生じています。やはり他の業種・職種では、テレワークが定着している企業も多いのに、製造業だけテレワークが定着しないのは不公平と感じる従業員は少なくないのでしょう。

製造業でテレワーク実施が難しい理由は、デジタルシフトの遅れ

製造業において、テレワーク実施が難しい最大の理由は、デジタルシフトの遅れにあります。製造業の中でも事務職や営業職は、オフィスワークが中心なため比較的テレワークに移行しやすいです。これに対して、設計職や技能職はテレワークへの移行が難しいとされています。

設計職では、国内の製造業の中には紙の図面を用いて協力会社に指示を出しており電子化が進んでいないところも少なくありません。工場で働く技能職は全ての従業員がテレワークに移行することは難しいですが、管理業務や受付業務はデジタル技術の活用によりテレワークへの以降が可能です。

その他の課題としては、

労務管理

セキュリティ

コミュニケーション

などの部分で、テレワークへの移行が難しくなっています。ところが、デジタル技術を活用すれば、多くをテレワークで実現することができます。

デジタル技術を活用すれば、製造業でも大部分がテレワークに移行できる

製造業でも、デジタル技術を活用することにより、一部の業務をテレワークへと移行することができると述べました。実際にどのようなデジタル技術を導入することで、テレワークを実現するのでしょうか。ここでは、製造業でテレワークを実現するために導入すべきデジタル技術を4つ紹介します。

1.クラウド

製造業の図面や書類を電子化してクラウドで管理すれば、セキュリティを保ちつつ社外からリモートでアクセスすることが可能になります。総務や人事、経理や営業などのオフィス業務もクラウド製品を利用することで、自宅から業務を行うことができ効率化も図れます。代表的なサービスにAutoCAD等があります。

2.IoT(Internet of Things)

IoT(Internet of Things)を活用すれば、工場の設備や部品の稼働状況をリアルタイムで自宅から把握し管理することができます。そのため、各工場の管理者は設備の異常や重大な故障、メンテナンス時以外は、現場にいる必要がなくなります。また、IoTで収集したデータをクラウドで管理することで、データへのリモートでのアクセスが可能になり、効率的にデータを記録・参照することができます。代表的なサービスにGenKan等があります。

3.AR(拡張現実)グラス

ARとは、Augmented Realityの略称で拡張現実と訳します。ARグラスを現場の作業員が身につければ、映像や画像をリアルタイムに共有することができ、ハンズフリーで遠隔の管理者から指示を受けコミュニケーションすることが可能です。管理者は映像のキャプチャ画像を作成することで、作業員にきめ細やかな業務指示を文字や図表を用いて説明できるので、音声だけのやりとりと比べて指示の精度が向上します。代表的なサービスにHoloLens等があります。

4.無人受付(FaceMe等)

工場の入退室に顔認証を用いれば、受付人員を配置する必要がなく省人化が図れます。顔認証では、事前に登録する顔情報と入口のカメラに映る入場者の顔を照合し自動でドアを開錠します。入退管理と勤怠管理をクラウドで一元化すれば、効率的に労務管理を行うことも可能になります。その他にも、電話を従業員のスマホに自動転送するシステムなどを導入することで、工数や人員の削減を図りつつ、遠隔のコミュニケーションを実現できます。代表的なツールにFaceMe等があります。

まとめ

本記事では、製造業を営む企業がテレワークを実現するための課題とそれを解決するためのデジタル技術について解説しました。結論として、現場の技能職(作業員)以外の製造業の職種の多くは、テレワークへの移行をデジタル技術の活用により実現できます。テレワークを導入して欲しい従業員の声が多いことは、アンケート調査からも明らかなため、経営者は前向きにテレワークの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人

【中小企業診断士】
生命保険会社、人材会社、戦略コンサルタント会社での経験を経て、2021年に中小企業診断士として独立。強みであるマーケティングとテクノロジーを軸に、中小企業の売上拡大を目的として活動

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