コロナ禍による働き方の多様化により、テレワークを導入する企業の数は増えています。最近では、出社とテレワークを組み合わせたハイブリッド型の勤務体系が、一般的になりつつあることは、みなさんもご存じなのではないでしょうか。
企業の経営者としては、テレワークを実施するならばどのような形で導入すればいいのか、悩みを抱えるのは当然のことでしょう。その悩みを解決するためにハッシュタグでは、2020年4月以降にテレワークをしたことがある会社員・経営者・役員518人に、テレワークの実態についてアンケートを実施しました。
本記事では、調査結果のうちテレワークでの従業員の生産性と満足度に着目して、考察・分析を行いました。その理由としては、テレワークを実施する上で従業員の生産性と満足度が、企業の経営者にとって非常に関心が高いと考えたからです。
本調査によると、テレワークの頻度が従業員の生産性と満足度に大きく影響を与えているとわかりました。本記事を読めば、従業員の生産性と満足度を最適化するためには、どのくらいの頻度でテレワークを実施すればいいか、知ることができます。
企業の経営者の方はぜひ本調査の結果を活かして、テレワーク導入の参考にしてみてください。
調査の概要
▼調査名
テレワーク実態調査
▼手法
インターネット調査
▼調査期間
2022年5月20日~5月21日
▼対象者
2020年4月以降にテレワークをしたことがある会社員・経営者・役員の方
▼有効回答数
518サンプル
▼調査期間
ハッシュタグ調べ
調査結果
テレワークを実施しても思うように生産性が上がらないという話は、みなさんも一度は聞いたことがあるのではないかと思います。本調査でも、「テレワークを実施して自身の生産性は上がったと思いますか?」という質問を設けたところ、「20〜30代」「40代」「50〜60代」どの世代に尋ねても、テレワークを実施して生産性が下がったという声が多いという結果に(下図)。
テレワークを実施して自身の生産性が下がったという声が多い理由として考えられるのは、
・自宅で仕事に集中できる環境が整っていない
・メンバーとコミュニケーションがし辛い
・他のメンバーが何をしているのかわからない
などの理由が一般的に考えられます。
本調査によると、テレワークの頻度(どのくらい出社するか)が少ないほど自身の生産性が下がったと回答する人が多く、テレワークの頻度が多いほど自身の生産性が上がったと回答する人が多いことがわかりました(下図)。
このような結果になった理由として考えられるのは、下記のような理由だと推測できます。
・テレワークの頻度によって、自宅で業務に集中できる環境への投資に影響を与える
・テレワークの頻度によって、テレワークへの業務の最適化の重要度が変化する
・テレワークの頻度によって、テレワーク下での生産性向上に関する知見が増減する
また、テレワークの満足度を尋ねる「あなたは今後、定期的にテレワークを実施したいですか?」という質問に関しても、生産性と同様の傾向が見られました。つまり、テレワークの頻度が少ないほど実施したくないという回答が多く、テレワークの頻度が多いほど実施したいという回答が多いという結果です(下図)。
このような結果になった理由として考えられるのは、下記のような理由だと推測できます。
・テレワークの頻度によって、ワークライフバランス設計の柔軟性が変化する
・テレワークの頻度によって、働き方がどのくらいルーチン化するかが決まる
・テレワークでの従業員の生産性と満足度に相関関係がある
調査結果に対しての所感
本記事では、テレワークでの従業員の生産性と満足度を左右する要因として、テレワークの頻度(どのくらい出社するか)が大きな影響を与えていると分析しました。調査結果を見ても、この傾向は非常に明白に示されており、一定の妥当性があると考えられます。
本文では、テレワークでの従業員の生産性と満足度に、テレワークの頻度が大きく関わっている理由についても考察しました。特に、生産性と満足度がお互いに影響し合っているという視点は、非常に重要な示唆だと捉えられます。
結論として、企業の経営者はテレワークの頻度が従業員の生産性と満足度に大きく影響するという本調査の結果を踏まえて、どのようにテレワークを実施すべきか慎重に検討する必要があります。もしかしたら、テレワークをするならいっそ中途半端にではなく、業務の全てをテレワークで行う大胆さが必要かもしれません。
本記事では、テレワークでの従業員の生産性と満足度に着目して、考察しました。一方、本調査ではさまざまな設問を設けており、他にも企業の経営者の意思決定を支援する洞察が得られたので、それに関しては別の記事でご紹介できればと思います。